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「子どもは豊かに伸びていく可能性を秘めている」・・・素敵な条文を見つけました [学校と子ども]

この一週間は勉強週間のはずでしたが、子持ちで仕事もある身です。目標まではできませんでした(涙)。それでも、いくつかの科目の教科書を読んでいるといろいろな発見があり、なかなか楽しかったです。

今回は、保育について「保育所保育指針」という法律から素敵な条文を見つけたので、書いておきます。そもそも、幼稚園と保育所の管轄が違うこと(幼稚園は文科省、保育所は厚労省ですね)、同年代の子どもが通う機関なのに、双方の風通しがあまり良くないことについては(最近では幼保一元化の動きがあり、同一施設内で両方の機能を持たせる「認定子ども園」などできているようですが)、保護者の一人として疑問も感じます。

が、それはひとまず置いておいて・・・。
保育所保育指針の第一章総則において、「保育所は、児童福祉法に基づき保育に欠ける乳幼児を保育することを目的とする児童福祉施設である」。→「保育に欠ける」という表現は、子どもを保育所に通わせていると、いろいろな書類でたびたび目にします。価値中立的にも読めなくはないのですが、個人的にはこの表現はあまり好きではありません。やはり、「保育に欠けない」、つまり両親のどちらかが働かず小さな子どもの世話に専念している家庭を標準にしている印象を受けてしまいます(そういう感覚は私だけでしょうか?)。そういう専業主婦、または主夫の家庭もあり、一方で、両親ともに仕事を継続させる家庭も普通にあって、どちらを選んでも幸せな子育てができるような社会全体のコンセンサスおよびシステム作りこそ重要だと思います。

ちょっと、話がそれてしまいました。
指針では続けて、「保育所は、乳幼児が、生涯にわたる人間形成の基礎を培うきわめて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごすところである。保育所における保育の基本は、家庭や地域社会と連携を図り、保護者の協力の下に家庭養育の補完を行い、子どもが健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境を用意し、自己を十分に発揮しながら活動できるようにすることにより、健全な心身の発達を図るところにある」。とし、「そのために、養護と教育が一体となって、豊かな人間性を持った子どもを育成するところに保育所における保育の特性がある」。としている。→このあたりは、特に異議がありません。基本的に子ども主体の規定であり、うなづけるものです。

教科書の著者はこれを受けて、
以上の記述に端的に示されているように、養護と教育を一体として行うことを通して、乳幼児の健全な心身の発達を図ろうとしている。ここには、careとeducationを統一的にとらえて、保育を進めていこうとする姿勢がはっきりと読み取れるものがある。・・・と書いています。

前置きが長くなりましたが、素敵だなあ〜と思ったのはその次の記述です。
以上のような、保育の基本的理念に基づき、次のような保育目標を掲げている。「子どもは豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めている。その子どもが、現在を最もよく生き、望ましい未来を作り出す力の基礎を培うことが保育の目標である」。→豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めているという子どもに対する信頼感、そして、現在を良く生き、未来を作り出すという子ども中心で能動的な教育観。私は、47年教育基本法以来、日本の教育についての条文で久々に感動しました。

著者もそれは同感のようで(私は著者と著書のすべての部分について同意見ではないのですが)、次のように書いています。
この表現は実にすぐれたものである。すなわち、先ず、子どもに対する可能性の信頼を述べ、次いで、現在の生活が安心してすごせるとともに、楽しく充実した生活が保障されることの大切さを述べている。この、「現在を最もよく生き」ることを通して、明日の成長につながる教育的要素を、「望ましい未来を作り出す力の基礎を培う」と表現している。これは、「生きる力の基礎」ともいえるものであり、現在、学校体系全体を通しての一貫した教育目標とも合致するものである。

著者が主張するように、保育所にとどまらず、のちの学校教育全体を通して、こういう精神が生かされる教育が行われることを願ってやみません。


2007-12-01 11:08  nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(1) 

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コメント 4

志村建世

「現在を最もよく生き、望ましい未来を作り出す力の基礎を培う」ですか。70代になっても欲しい、いい言葉ですね。
by 志村建世 (2007-12-01 17:50) 

東西南北

 1:お受験教育の制度という教育行政の教育への介入、2:軍国主義制度という教育行政の「性悪説」的な教育への介入、3:資本主義的労務管理制度という企業資本、財界の「人間怠け者説」「競争至上主義」的な教育への介入、などが強烈に作用している現状で、記事のような事実に基づく人間に立脚する教育活動、保育活動は絶対に必要です。

 「子どもは豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めている。その子どもが、現在を最もよく生き、望ましい未来を作り出す力の基礎を培うことが保育の目標である」。→豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めているという子どもに対する信頼感、そして、現在を良く生き、未来を作り出すという子ども中心で能動的な教育観。」

 この記述は人それぞれの価値観の問題ではなくて、事実認識と問題として共有していかねばならないことですね。能動的な発達をする主体としての人間の本質は、上で挙げた1,2,3をすべて否定し、新しい未来を作り出す力の基礎になる。
by 東西南北 (2007-12-01 19:55) 

薩摩長州

「子どもは豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めている。」そうですね。子どもは無垢です。かの偉大な空想社会主義者のロバート・オウエン氏は子どもの無限の可能性を賞賛したものであります。私は、そのような大らかな教育と、それを受け止めることができる大らかな社会を望みます。

PS.冬の訪れと共に私の喘息は終息しました。
by 薩摩長州 (2007-12-01 22:28) 

mai

>志村建世さん
大事なご指摘ありがとうございます。おっしゃるように、この言葉は世代を通じて当てはまるし、そういう社会であってほしいですね。もちろん、私自身もそういう希望を持って暮らしていきたいです。

>東西南北さん
こんにちは。価値観や一学説ではなく、社会全体が共有したい、というよりしなくてはならない認識だと思います。確かに、東西南北さんが1〜3でご指摘くださった困難な要因は存在すると思います。今の教育行政はどちらかと言えば「子ども(人間)性悪説」(子どもはそのままでは荒れて悪くなる)に立っているようで、その点から違和感を感じます。

>薩摩長州さん
ありがとうございます。ロバート・オウエンについて、名前を聞いたことがある程度だったので、いまネットで少しだけ調べてみました。有名なフレーベルよりも早い年代に幼児教育を手がけたそうですね(すごい!)。大らかな教育と言えば、先週、「自由教育子どもサミット」というシンポジウムに出席しました。本当に大らかな教育方針と伸びやかな子どもたちに感動しました。時間が取れ次第、記事にしようと思っています(が、なかなかできないのですが、必ず・・・)。
私も大学病院受診後、喘息は良くなりました☆予防薬は続けています。真冬はかえって調子が良いと思いますが、カゼが発作の引き金になるので、お互い注意しましょう!
by mai (2007-12-02 15:11) 

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