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教育3法案を強行採決! [教育基本法]

この内閣になっていったい何回目なのでしょう。また強行採決です。しかも、子どもたちの将来を左右する、本当に大事な教育3法案です。子どもと教科書全国ネット21の俵義文さんが抗議声明を出しておられますので、紹介します。資料として、法案の問題点もまとめてあります。与党側の公述人・参考人からも多くの疑問や不安が述べられたそうです。また、自由法曹団からは100項目にも及ぶ公開質問状が出されていますが、それに対して回答が寄せられたという話は聞きません。教育基本法のときと同じ構図です。
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【談話】政府・与党による教育3法案の強行採決に抗議する

   2007年6月19日    子どもと教科書全国ネット21事務局長・俵 義文

 政府・与党は、6月19日17時20分過ぎに、参議院文教科学委員会で教育関連3法
案(「学校教育法等の一部を改正する法律案」「教育職員免許法及び教育公務員
特例法一部を改正する法律案」「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一
部を改正する法律案」)の採決を強行した。私たちはこの政府・与党の暴挙—数
の暴力に怒りをこめて抗議するものである。

 教育関連3法案は、日本国憲法と国連・子どもの権利条約に違反する改悪教育基
本法を実施・具体化し、教育の専門家でない委員が教育現場を無視してまとめた
教育再生会議報告を稼動させるためのものである。安倍首相とその政権がめざす
新自由主義と新保守主義による「教育改革」という名の「教育破壊」を推し進め
るための全面的な改悪法案である。その最大のしかも最も重要な問題点は、この3
法案は、根本的に教育のあり方を変えてしまう全面改悪であり、教育については
国家が何でもできる、政府・文部科学省による教育の国家統制システムをつくり
あげるものである。

 だからこそ、衆議院でも参議院でも、与党の推薦する参考人・公述人からさえ
疑問や批判が多く出されていたように、教育3法案に対しては、教育研究者、学校
現場はもとより、教育委員会関係者、教育に関係する市民からも多くの批判が出
されていた。衆議院での採決にあたって11もの付帯決議がつけられたことはこの
法案が欠陥法案であることの証しである。参議院での審議でも、この付帯決議を
いかに解決するのかという議論をはじめ、参考人・公述人の意見、教育や法律の
専門家をはじめ多くの関係者から出された疑問や批判は政府答弁によっても何も
解明されていない。教育関連3法案は廃案にするしかない欠陥法案である。

 安倍首相は戦後の日本国憲法体制から脱却して「戦争する国」づくりをめざし
、憲法9条改悪のための改憲手続き法と共に教育3法案を最重点課題としてきた。
政府・与党は、今166通常国会では、9条改憲のための改憲手続き法を強行成立さ
せ、今また、教育3法案を何が何でも会期末までに成立させるために、審議が全く
不十分であったにもかかわらず、数を頼みに採決を強行した。これは、議会制民
主主義さえも踏みにじる暴挙であり、私たちは、怒りを込めて抗議すると共に、
参議院本会議で可決を阻止し、廃案に追い込むために最後まだたたかうことを表
明するものである。
 なお、この採決強行への「抗議談話」発表にあたり、これまで私たちが指摘し
てきた3法案の問題点を「資料」として提示し、広く国民の皆さんに同法の危険な
内容とねらいを知っていただきたいと願うものである。

【資料】教育を破壊する教育関連3法案の重大な問題点

          2007年5月18日    子どもと教科書全国ネット21

1.学校教育法改悪法案の主な問題点
改悪基本法は、子どものための教育から国家のための教育に180度大転換する法律
であるが、学校教育法「改正」法案は、その国家のための教育を全面的に具体化
する内容である。

(1) 「義務教育」の目標に改悪基本法第2条に盛り込んだ国定の道徳目である
「規範意識」「公共の精神」「生命及び自然の尊重」「伝統と文化の尊重」「我
が国と郷土を愛する態度」「国際社会の平和と繁栄に寄与する態度」「家族と家
庭の役割」などを規定している。これらを規定した「義務教育」の章が各学校種
の章の前におかれたことによって、国定道徳目は各教科の目標よりも上位に位置
づけられることになる。これによって「教育の目標」は、現行法の学問の成果を
教え学ぶことから国定道徳を教え学ぶことに転換することになってしまう。しか
も、「我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き」と法律に明記す
るのは、歴史について特定の解釈(例えば、日本の戦争は正しかったなど)を押
しつけることになる。

 幼稚園も「義務教育及びその後の教育の基礎」と位置づけられ、「規範意識の
芽生えを養う」ことが目標とされている。

 これらは、「内心の自由」に国家が踏み込むもので、憲法が禁じているもので
あり、改悪教育基本法と同様に憲法違反の法案である。

(2) 現行法では文部科学大臣が決めることができるのは「教科に関する事項」
となっているが、改悪法案はそれを「教育課程に関する事項」に変えている。現
行法の「教科」は「教科名」のことであり、教育内容は含まれないが、これを「
教育課程」とすることによって、教科以外の活動や道徳教育も含めて文部科学大
臣が教育内容の決定権限を持つことを明文化することになる。これにより、文部
科学大臣の教育内容の決定権限が無限に拡大され、国家の教育統制はますます容
易になる。

(3) 改悪基本法は、47年基本法の「能力に応ずる教育」を「能力に応じた教育
」に変え、教育の機会均等から「能力別」教育(差別・選別教育)への転換をう
たっている。これが改悪法案の高校教育に具体化されている。高校教育の目的は
現行法と同様に「高度な普通教育及び専門教育を施すこと」としているが、この
文言の前に新たに「進路に応じて」という言葉を入れ、さらに「専門的な知識、
技術及び技能を習得させる」ということも明記している。これは、「進路に応じ
て」「高度な普通教育」と「専門教育」に高校の教育を複線化することを明文化
するものである。つまり、高校教育は今後、大学進学のための教育と高卒後の就
職のための教育に2分化させることとなる。新自由主義にもとづく差別と格差教
育の具体化である。

(4) 改悪法案は学校の組織と運営を変更するために、新たに副校長、主幹教諭
、指導教諭の職を新設している。これによって学校運営は、校長→副校長→主幹
というラインによって監督・指揮が行われ、一般の教員は学校運営からは排除さ
れて、管理ラインと指導教諭の下で文科省・教育委員会に従順にしたがって教育
を行うだけの存在(教育マシーン)にさせられてしまう。こうして文科省→教育
委員会→校長→副校長→主幹というトップダウンの教育統制が行われることにな
る。しかも、法案では、「副校長は」「命を受けて公務をつかさどる」「主幹教
諭は」「「命を受けて公務の一部を整理し」などと、わざわざ「命を受けて」を
明文化している。これは、学校現場の活き活きとした活動や創意工夫、教職員に
よる協同を規制することになる。

(5) 改悪法案は新たに「文部科学大臣の定めるところにより」「教育活動その
他の学校運営の状況について評価を行ない、その結果に基づき学校運営の改善を
図るために必要な措置を講ずることにより、その教育水準の向上に努めなければ
ならない」と規定し、さらに「教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を
積極的に提供するものとする」と定めている。学校運営の状況の報告と評価を通
じて、文科省の学校に対する管理統制をさらに強めるしくみがつくられることに
なる。これによって、文部科学大臣が全国いっせい学力テストを学校の評価方法
と定めれば、全国学力テストへの参加が学校に義務づけられ、さらに、テストの
結果情報の提供も義務づけられることになる。

2.教職員免許法など改悪法案の主な問題点
 教員免許に10年の有効期限を設け、10年目に講習を受けさせ、講習が終了した
と認定されれば免許を更新できるようにする、としている。講習で認定されなけ
れば教員免許は失効して職を奪われることになる。さらに、「指導改善研修を命
ぜられている者は、免許更新講習を受けることができない」と定めている。「指
導改善研修」というのは、教育公務員特例法の改悪法案に盛り込む「指導が不適
切」と認定された教員に「指導改善研修を実施」するというものである。「指導
改善研修」は「1年を超えてはならない」とし、研修終了後に認定を行い改善がみ
られない、「指導を適切に行うことができないと」と認定されれば免職になると
定めている。

つまり、「指導力不足」「不適格」教員と認定されれば、免許更新のための講習
も受けられないし、失業に追い込まれかねないということである。これは、「ダ
メ教師はやめていただく」(『美しい国へ』)という安倍首相の主張を具体化す
るものであり、この制度によって、文科省や教育委員会に従順に従う教職員をつ
くる、逆に、「日の丸・君が代」強制に反対したり、「教え子を再び戦場に送ら
ない」などと、「戦争をする国」づくりのための教育、競争至上主義の教育に反
対したり抵抗する教職員は「ダメ教師」の烙印を捺して学校現場から排除するね
らいである。

 わずか30時間の講習で、「人間的に児童生徒の信頼を得、最新の知識・技能を
身に付け、自身と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られる」(文
科省の教育再生会議への提出文書)ようになるといえるのか。こうしたことは、
教職員の日常的な自主研究・教材研究と教育実践、協同の学びあい、子どもとの
深いつながりなどを通じてこそ得られるものである。そうした、ことが可能なよ
うに自主研究などを時間的に保障し、30人以下学級を実現して、ゆとりをもって
子どもと相対することができるようにすることこそが急務ではないだろうか。

3.地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改悪法案の主な問題点
(1) 文部科学大臣が教育委員会に対して「是正の要求」や「是正の指示」がで
きるようにする規定をあらたに明記している。「法令違反や怠りによって」「生
徒等の教育を受ける権利が明白に侵害されている場合」(「是正の要求」)「緊
急に生徒等の生命・身体を保護する必要が生じ、他の措置によってその是正を図
ることが困難な場合」(「是正の指示」)という制限をつけているが、しかし、
法律ができれば、この文科相の教育委員会への命令・指示は大きな効力を発揮し
、しかも、「是正の要求」は「教育委員会が講ずべき措置の内容を示して」とな
っていて、踏み込んだ介入を可能にしている。事実、衆議院特別委員会で伊吹文
科相は、「日の丸・君が代」の強制も是正指導に含まれると答弁している。国の
地方教育委員会への支配・統制が容易になることは明らかである。なお、現在で
も文科省からの「通知」はおろか「事務連絡」さえも「通達」と受け取る教育委
員会がほとんどである現状から見て、「要求」も「指示」も同じ効果をもつもと
思われる。

(2) 「市町村は近隣の市町村と協力して教育委員会の協同設置等の連携を進め
」として、小規模な自治体の教育委員会の統合をめざしている。これが行なわれ
れば、教育委員会は地域から切り離され、教育の地方分権は形骸化し中央からの
管理統制がいっそうやりやすくなる。しかも、「平成の大合併」によって、合併
を拒否した小規模な市町村は大規模自治体の間に点在している。その中で統合を
めざすということは、結局、近隣の大きな自治体の教育委員会に吸収されること
になってしまい、ますます地域と切断されてしまうことになるであろう。

(3) 教育委員会は独立行政委員会であり、合議制を原則としている。ところが
改悪法案は、一定の問題について教育長に権限を委譲することを定めている。合
議制の原則が崩れて教育長への権限の集中化が進むと思われる。

(4) また、私立学校の教育について、都道府県知事が、当該の都道府県教育委
員会に対して、「助言又は援助を求めることができる」という規定を新たに設け
た。これは、私学に対して、知事や教育委員会が介入できるようにするものであ
る。改悪基本法は「私立学校」の規定を新設し、第2条の「国を愛する態度」など
の「教育の目標」は私学にも適用されるとしている。もし、私立学校が建学の精
神を理由に「日の丸・君が代」を実施しなかった場合は、この改悪法案によって
「助言・援助」の名目で介入することが可能になる。


2007-06-19 20:02  nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(1) 

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コメント 2

hm

 国家統制主義の教育へ整備を整えてきた。それもなりふり構わず、というわけですね。
 パブコメ反対意見を出したり、議員にメールをしたりもしましたが、焼け石に水だったか、という風に思うと悔しくなりますね。

 が、これからどう巻き返すか。
 私は、私たち一人ひとりに、国家に統制されずとも、未来を、未来の知を育ててゆくだけの情熱や力が存在していいることを信じることが原点だと思っています。
 
 つまり、法改定「反対」を私たちが言ったのは、現状維持・保守を目的としたものではない。
 今までに存在しなかった個人個人の輝ける知の光にあふれた明日を拓くため、ですよね。

 悔しい日に、逆に、柄にもない美的技巧表現が過ぎましたが、明るい希望を持って進んでいきたいと思います。
by hm (2007-06-20 21:09) 

mai

パブコメ意見提出やメール、どうもありがとうございます。パブコメの時はカゼを引いていて、出せませんでした。期間も異常に短かったですね。1000通以上来たそうですが、どこをどう参考にしたのか教えてもらいたいです。

hmさんらしい、明るいご意見、嬉しいです☆国家がどうこう言っても、教育の本質は現場にあり、教師対生徒、生徒対生徒、そして教師間の同僚性ですよね。一人ひとりの力を信じて、上からの統制をはねのけるパワーを期待しましょう。そして、そのためにできることは、大人の一人として、協力を惜しまずやっていきたいと決意を新たにしています。

本当はしょぼんとしていたのですが、何だか元気が出てきました(単純?)頑張りましょう!
by mai (2007-06-21 00:57) 

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