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関係ない話題から・・・市民運動と戦術について考えてしまいました [市民運動]

私は細々とですが、通信制大学の学生もしていて、いまは添削課題を提出する時期です。日頃勉強しておけばいいのに、政治状況が気になってブログを書いたり、ネットで情報収集したり、会報のことを考えたり(実はぼんやり悩んでいる時間も長いのですが)・・・というわけで普段はほとんど勉強が手につきません。切羽つまって、学生時代の一夜漬け感覚(懐かし〜い)で、泣きそうになりながら勉強しています。

ちなみに、教育基本法問題の時期は単位ゼロでした。さすがに今はちょっと立ち直って、日々の生活も大事にしなければと心を入れ替えて暮らしています!

で、今日はさっき勉強したことのなかから・・・「大勢の人を動かそうと思ったら、それなりの戦術が必要だろう」ということです。「戦術」というとちょっとずるいような語感もあるかもしれませんが、そうではなく、周到な準備・計画、多くの人にアピールする力というような意味です。

事例は政治とは関係なく、ちょっと前の話題ですが、東北新幹線の運転区間が延長したときに、北東北への観光客をどうやって増やしたか?ということです。実際、開通後には観光客が55%増だったとか。観光の目玉にしようと作った屋台村は予想の2倍の人が来てくれたとのことです。

それで、講師がJR東日本の広報担当者にインタビューしていました。担当者は、「キャンペーンとして成功したと思います」と嬉しそう。ではどうしたかというと、区間延長の1年前から3段階にわけてキャンペーンを強力に実施したそうです。簡単に言うと、
1. 首都圏でリサーチしてみると「北東北はどうも暗い」というイメージが強かったので、それを払拭するために春の暖かい日差し、奥入瀬渓谷の新緑など、明るさを前面に出すようなポスターや映像を流した。
2.次の段階として、主な観光地をすべて紹介するつもりで、繰り返しメディアを通じて知らせた。
3.開通1カ月前からは新幹線「はやて」に絞って、全席指定席とかグリーン車でのサービスとか、首都圏からこれだけの時間で行けますとか、そういうPRをした。

そのほか、ホームページを開いたり、「東北からのメールたより」などメールで定期的にみどころを紹介したそうです。

これを知って私はいまさらながら「やっぱり企業の戦術は違う」と感じました。地元や行政とタイアップしたそうですから資金も十分だったでしょう。テレビ、雑誌、パンフレット・・・ありとあらゆるメディアを使ったようです。そして、JR東日本に限らず、大手企業が本気で大勢の人を動かしたいと思ったら、どこでもこのくらいのことはしているでしょう。それでどれだけの人のこころに影響を及ぼしているのか?ちょっと言いしれぬ怖さも覚えました。

政府だって、大手広告代理店がバックに控えて、綿密な調査に基づいて巧妙に宣伝をします。大手新聞もテレビも、一部を除いていまや基本的には政府寄りの報道姿勢です。無料で毎日広告を出してくれているようなものです(それでも支持率下がってますが)。

翻って私たち市民はどうでしょう。もちろん、いろいろな団体や個人が精一杯工夫を凝らして活動しています。その費やしているエネルギーはものすごく大きいと思います。でも、まだまだ戦術面で一歩も二歩も遅れを取っているでしょう。資金力のある企業や政府と、資金的にも時間的にもほとんどボランティアの私たちが対等にやり合えるわけがないことは承知ですが、それでも何とかならないか、というより何とかしないとたいへんなことになると思いました。

誠実に活動しているし、正しいと信じることを訴えているからそれでいい。私もそれが原点だし、本来の市民運動のあるべき姿だと思います。でも、現在のように、根こそぎ持っていってしまうような強権的な政府を相手に回してしまった時、もっと大きなうねりが必要な気がします。

こんなことを考えてしまったのは、先日読んだ天木直人さんのブログ(http://www.amakiblog.com/)で、9条ネットの方と顔合わせした時の記事を思い出したからです。天木さんはこう書いておられます。
「正直言ってこのメンバーで風を起こす事は不可能な気がした。その理由はいくつかある。まず全員が善良な人たちばかりということだ。善良であるということは、すべての行動の最後の砦であると思っている。善意の人たちの集まりであるからこそ、私は失うものがある事を承知で最終的に参加を決意した。しかし後2ヶ月しかない選挙という修羅場にあって、善良だけでは戦う事は容易ではない。このような善良な人たちとどうやって力を合わせて戦っていけるか、それを思うと天を仰ぐ思いだ。もう一つの理由は、善良な人たちの集まりの常として、強力なリーダーシップが不在であるということだ。指揮命令も戦略作成も何もない。これは官僚組織という上意下達の世界で生きてきた私には驚くべき事である。これでは風は起こせないと思った」。

そう、天木さんからみて「指揮系統も戦略作成も何もない」のです。選挙に打って出ようとする方々ですら、そういう状況なのです。私も含めて、無党派で市民活動をしている人々は、もう徒手空拳でやっているとしか言えないでしょう。上の記事を読んで、私も天を仰ぎたくなりました。

しかし、天木さんは希望を持ち続けています。そして、私もその希望を共有したいと心から願っています。ちょっと長くなりますが、続きをご紹介します。
「しかし今の私にはためらいはない。不可能と思われる事をどうしたら可能に出来るか、それを考えるだけだ。風を起こすことが出来ないのならば自分が起こすように頑張るしかない。
9条ネットに参加した人たちは、候補者に担ぎ出された人も、それを裏で支える人も、それなりの思惑と打算はそれぞれあるだろうが、基本的には善意の人たちである。平和を願い、憲法9条を守りたいと願う人たちである。だからこそ、彼らは、あるいは既存の護憲政党の組織の論理に弾き飛ばされてきた。学生運動に挫折した。世間は彼らを負け犬と呼ぶ。私もその意味で官僚失格の負け犬だ。しかし、私はつくづく思う。記者会見の後に何人かの人々と食事を共にして語り合った。立ち食い寿司の千円の食事代を割り勘で済ます普通の人たちだ。彼らの心には、しかし、もはや自らのエゴや邪心は消えつつある。純粋に善良な事に向かって微力を尽くしたいと言う謙虚さだけが残っているように見える。この組織を裏で支えている新社会党や全労協という組合活動家さえも、自らの自己主張を引っ込めて、9条ネットの成功を優先させようと思い始めている。ましてやそのほかの宗教団体とか市民活動家とか、文字通り、様々な境遇で人生を生きた、無力でバラバラな、しかし間違いなく善良なたちは、純粋な気持ちで9条ネットに参加している。
  それをまとめて全国の国民に9条ネットの存在を知らしめる、そしてそこへ無党派の支持を集中させて大きな動きを作っていく、これが私の役割なのだ。口には出さないが皆がそれを私に求めている。これは大変な重責だ。こんな事をする為に9条ネットに参加したつもりはなかった。しかしもはや私には迷っている時間も、後悔している時間もない。ここから出発するのだ。9条ネットを成功させる事がすなわち私の理想を実現することなのだ。ブログで書き続けてきた私の思いを実行することなのだ。そう考えると絶好のチャンスを善意の人たちの行動によって与えられたということになる。無理を承知でそう自分に思い込ませて、決意を新たにしている」。

その後、天木さんを始め、9条ネットの方々は大阪や京都で講演されたり、支部を立ち上げたり、精力的に動いておられます。私はこの組織だけを応援するものではありませんが、ブログでの天木さんファンとして、これからの活躍を心から祈っています。

課題に追われているというのに、ついブログ書いてしまいました。どうやら教育基本法と憲法から離れられない身体(頭?)になってしまったようです。でも、こんな人、けっこういるだろうなあ・・・とみなさんのブログを拝見して思います。頑張りましょう!


2007-06-04 23:40  nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

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tamara

まいさんはいつも本当によくがんばっていますね!時間もないのに・・でも、おかしいと思っていることをそのままにしておいたら、それはそれでストレスで自分の勉強の妨げになってしまいますね。天木さんのブログは私も読んでいます。私もここに書かれているような事、私達には戦術がなさすぎる、と常に感じます。都知事選のときもそうでしたが、あんな短い期間であれだけの票を取れたのだから、勝つことも不可能ではなかったと思いがあります。選挙戦では最後の三日で風向きが変わると言われるくらいですから。
左翼はなぜ団結できないのか、効果的に戦えないのか、です。善良であるだけではね。
私の隣の市の市長選で、もと共産党市議の人が、今回完全にどこの推薦も受けずに無所属で出馬し、見事、自公推薦候補に勝ちました。とてもいい人で私達の選挙の時にも応援に駆けつけてくれたんですよ。久しぶりの勝ち、でちょっと嬉しいです。
by tamara (2007-06-05 21:32) 

mai

こんにちは!蕨市の市長さんですね。私もネットで見て喜んでいました。とてもいい人でタマラさんとも面識があるとのこと・・さらに嬉しくなりました。地元が良い感じだと、だいぶ元気が出ますね。私も知事と県議会が変わって、かなり気持ちが落ち着きました。これからはぜひ議会を傍聴しようと思っています。戦術のこと・・私などが書くまでもなく、多くの方が同じように感じて悩んでいると思いますが、きっかけがあったので日頃思っていることをつい長々と綴ってしまいました。勉強はほとんど趣味のようなもので、というより趣味そのものです(笑)。大学で志望しながら果たせなかったことを取り戻そうとしている感があります。
by mai (2007-06-05 22:59) 

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