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全国学力テストに対する請願書 [学校と子ども]

ガガーン、県の教育委員会会議を初傍聴した時の記事を保存ミスでとばしてしまいました。3日もかけて書いた力作??だったのですが(涙、涙)。

再度書く気力がまだ出ませんので、全国学力テストについての請願書の紹介をします。本日、知人が個人名で市の教育委員会に提出したものです。さきほど、提出の現場に同行させていただきました。上に書いた県教委も請願がらみ(扶桑社版歴史教科書の使用中止を求める)で傍聴したのですが、会議では請願については全く議論されませんでした。今度はそんなことがなく、公開の場で、核心を捉えた議論がなされることを願います。

以下、請願書です。

***************************************
                                  2008年1月23日
●●市教育委員会
委員長 ●● ●● 様
                                  ●●市●●●丁目●番●号
                                   ●● ●●  印
                請 願 書
【請願の趣旨】
 2007年4月24日実施の「全国学力・学習状況調査(以下、「全国学力テスト」という。)に●●市立小学校・中学校も参加しました。私はこの「全国学力テスト」には、「理念と目的」「参加決定手続き」「実務上の効用」のどれをとっても問題があると考えます。
 《その一》
 この「全国学力テスト」は「競争意識の涵養」で学力向上を図ることを目的とし(2004年中山文科相)、下位校は淘汰されるという結末を前提としています。同時に、規制改革・民間開放推進会議が答申した「教育バウチャー制度」を実施する上での、基礎部分を形成します。よって、あらゆる児童・生徒にいきとどいた教育を実施する役割を担う公教育と相容れない、と言わざるを得ません。

 《その二》
 ●●市教育委員会が、この「全国学力テスト」への参加を決める過程にも問題があります。
 先に『平成19年4月24日に実施された「全国学力・学習状況調査」に、●●市立小学校・中学校が参加することを決めた際の決裁文書や会議録等、関係文書の一切』の公開を請求しました。その結果公開されたのは、『「平成19年度全国学力・学習状況調査の実施について」の関係文書類の配布について』との決裁文書でした。「口頭での内部協議は十分行った」という報告を、学校教育課担当職員から聞きましたが、どのような協議がなされたのか検証する術はありません。
 『「配布すること」イコール「参加すること」』との解釈は、世間一般ではまったく通用しない理屈です。文部科学省の通知だけで参加を決めたと言って過言ではありません。●●市教育委員会の見識を問われる、重要な問題を含んでいます。

 《その三》
 「全国学力テスト」を受けた児童・生徒に、個票が返されたのは実施後6ヶ月近くを経過した10月です。「答案用紙」そのものは「返却」されず個票にとどまっています。
 これでは、家庭内で当該の児童・生徒と向き合って話をすることは十分できません。それどころか、自分がどの辺にランクされているかを心配したり、正解・不正解で一喜一憂したり、およそ児童・生徒の学力向上とは関係の無い傾向を助長してしまうことにもなりかねません。
 「全国学力テスト」は、個々の児童・生徒に対する学習指導には有用ではない。と考えている現場の教師も多いのではないでしょうか。

以上のことから、●●市教育委員会会議規則第16条第2項の規定に基づき、次の項目を請願いたします。
【請願項目】
1 2008年度以降の、全国学力・学習状況調査に、●●市教育委員会として参加しないこと。

2 2007年度全国学力・学習状況調査結果を、学区・学校・クラス・個人など、いかなる単位でも公表しないこと。また、情報公開請求があっても公開しないこと。

3 対象となった児童・生徒に対して、速やかに答案用紙を返却すること

4 本請願を諮る会議は、公開とすること

***************************************
以上です。時間がなく、細かい感想は書けませんが、昨年の段階で教育委員会レベルで実施するかどうか、きちんとした議論がされていない(ように限りなく見える)ことは、ある程度予想されていたとはいえ残念です。

教育は地方自治体の裁量の幅が広い事項であるのに、議論さえされていないとすれば、たいへんもったいないことです。地方自治の放棄とも言えるのではないでしょうか。

<追記>
請願側は私を含めて5名、教育委員会からは市の担当者3名の話し合いでした。特に言い合いになることもなく、平静に進みました。私は個人として、フィンランドの教育関係の本を3冊、「未来への提言」「青い光が見えたから」「フィンランドの保育と子育て」贈呈しました(先方は「お借りします」とおっしゃっていましたが)。いずれも、担当の方はご存知なかったです。教育行政に携わる方々にこそ、こういう本を読んでいろいろと考えていただきたいです。私たちといまの方向性は違っているとしても、「子どもたちに良い教育を受けてもらいたい」という願いは共通していると信じていますから。


2008-01-23 17:10  nice!(2)  コメント(8)  トラックバック(15) 

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コメント 8

ayu15

それショックですよね。うちPC苦手で書き込み大変です。そのくせ、うちは力作?多くて。
苦労して打ち込んだ力作うちも先月消してしまいました。
by ayu15 (2008-01-23 20:49) 

mai

ayu15さん、激励どうもです☆どんくさい私はけっこうやってしまいます。このところ時間がなくて細切れ時間で少しずつ書いていただけにショックですが、また立ち直ったら書きます。ayu15さんはいつも力作ですね♪
by mai (2008-01-23 22:40) 

東西南北

 ayu15さんとmai さんのやり取り。傑作。これからも力作よろしくです。がんばれー。

 学力テストに毎年60億も80億も使うな。全数調査はやめろ。子供の氏名を書かせるな。番号でいけ。って全国学力テスト自体やめろ。学力向上は少人数制学級でいけ。テストに点数をつけるのはやめろ。テストは序列化ではなく、発達診断だ。点数は不要。
by 東西南北 (2008-01-24 21:45) 

mai

>東西南北さん
嬉しいコメント、ありがとうございます。ayu15さんの柔らかいムードいいですよね。私も時にはその雰囲気でいきたいと思います。力作とはいかなくても、あきらめることなく続けます。

本当に、77億もかけて悉皆調査する意味があったのでしょうか。そういう検証なしで早々と今年の実施が決まるところにたいへん疑問を感じます。真っ当な教育学の知見を踏まえて政策を決めてほしいです。
by mai (2008-01-25 11:52) 

日本人は教育熱心なのか、なにがなにやら、最近はよくわかりません。
国策としての教育ではなく、
真に子供のための、人間育成のための教育が望まれます。
by (2008-01-26 16:56) 

mai

shinwaさん、コメントありがとうございます。
う〜ん、多くの親御さんは「学力」に対しては敏感なようですが、その中身は、やはり受験に向いているのでしょうか。
おっしゃるように、人原育成、自由にものを考えられ、自分も他人も大切にできるような人を作る教育が大切ですね。
by mai (2008-01-26 20:28) 

 maiさん、積極的に活動なさっているのですね。敬服します。
 全国逆ギレテスト、じゃなくて学力テストは、大枚はたいて授業時間削ってまでやった割には、どこぞの方々が「期待」したほどの学力低下も裏付けられず、ホントに何だったんだという感じでしたね。
by (2008-02-06 19:38) 

mai

shiraさん、ありがとうございます。
先月は県教育委員会の傍聴、市教育委員会(事務局)への請願(のつき合い)と、どちらも初めての経験をしました。
全国逆ギレテストは、なぜ悉皆調査でなければならないか、いまだにはっきりしませんね。しかも個票が帰ってくるのが遅すぎて「何のこっちゃ」状態のように見えます。
県教委の会議で「学力向上策」を発表していましたが(議論はなく報告のみ)、当県が全国に比べて特に成績が悪いわけではなく、挙げられていた各問の正答率の比較もたぶん統計的有意差はなさそうなものでした。何を考えているのか、私にはよくわからない会議でした。
by mai (2008-02-07 15:19) 

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