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税負担の基本的なしくみと問題点(共産党の考え) [政治の不思議]

私は基本的に無党派リベラルを自認していますが、最近の政治の動きでは社民・共産、民主小沢氏〜左派の発言に共感を覚えるものが多いです。国会中継はなかなか見る時間がないのですが、先日、予算委員会で共産党の佐々木憲昭さんの質問を見ました。税負担の公平性などについて、わかりやすく説得力のある質問をされていて、感心しました。

ところで、先日、消費税について書いた記事に東西南北さんからいただいたコメントが、税負担の考え方について、専門外の者にもわかりやすいと思います。出典は日本共産党の文章のようです。コメント欄に置いておくにはもったいないので、記事として上げておきます。以下です。

********************************************
税制には直接税中心か、間接税中心かの論点がまずあります。すなわち、

 民主的税制は、税負担の公平をはかるために近代社会で確立してきた租税原則で、日本では一九四九~五〇年の米シャウプ使節団の勧告(シャウプ勧告)にもとづき戦後税制にとり入れられました。

 直接税中心の原則は、税制は所得税、法人税など直接税を中心とし、消費税のような間接税によるべきではないという原則です。本来、税金は所得や資産に課税するもので、消費税のように所得のまったくない人からも一律に税金をとることは税負担の公平に反します。

 総合・累進制の原則は、所得をすべて合算した上で所得の高い人ほど高い税率をかけるという原則です。直接税中心でも一律税率では低所得者に重くなります。そこで所得が増えるにしたがって、税負担も重くする累進制が必要です。さらに累進制が正しく働くように、各種の所得を合算して課税する総合制をとることで、初めて税の公平確保がはかられます。

 生計費非課税の原則は、国民の最低生活費には課税してはならないという原則です。憲法二五条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を税制につらぬく上で、不可欠の原則です。

 自民党政治は、一九八八年の税制「改革」を起点とする九〇年代「改正」で、所得の低い人ほど負担が重くなるという最悪の不公平税制である消費税導入と税率引き上げをはかり、直接税中心から間接税中心へと転換をはかりました。

 他方で、大企業・金持ちへの大減税を立て続けにおこない、総合・累進制を大幅に緩和し、税収基盤の空洞化まですすめるなど、民主的原則をないがしろにしてきました。

 1989年に消費税が導入された時も、97年に増税された時も「高齢化社会のため」などと宣伝されました。

 しかし、消費税導入後16年間に、社会保障は拡充されるどころか、改悪が続きました。サラリーマンの医療費は1割負担から3割負担になり、年金も削られました。この16年間の消費税収148兆円に対して、法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)の税収は、この間に合計で145兆円も減りました。

 不況にくわえて、大企業への減税が繰り返されたためです。消費税はこの穴埋めに消えてしまい、社会保障には回っていません。いまも日本経団連などは「社会保障のために消費税増税を」と言っていますが、これは「社会保障をよくするため」ではなく、「社会保障への企業負担を軽くするため」という意味です。消費税を増税しても社会保障がよくなる保障はまったくありません。

 1989年に消費税を導入した後、その前と比べて大企業などの法人税率を42%から30%に引き下げ、「富裕層」の税率を60%から37%に引き下げたからです。消費税収は、90年と比べ2005年には4・5兆円から10・5兆円に増えましたが、法人税は18・4兆円から12・5兆円、所得税は26兆円から14・7兆円に減少しました。その結果、国の税収は60・1兆円から47・0兆円に落ち込みました。

 したがって、国の税収を増やすためには、法人税率、高額所得者の最高税率を消費税導入前にもどすことです。これが、国民的な立場から租税負担率をあげる道です。

 さらに、最終的には消費税は大企業自身の負担にはなりません。

 たとえば、原材料や機械に50億円、輸送費、光熱通信費、事務費などに10億円を支払って、製造した商品を100億円で販売する企業を考えましょう。これらの経費を支払う際には、60億円の5%として3億円の消費税を払うことになります。一方、商品を販売する際には、お客から100億円の5%の5億円の消費税を受け取ります。消費税は、販売した商品やサービスに上乗せされた消費税と、仕入れの際に払った消費税との差額を税務署に納税する仕組みですから、5億円マイナス3億円で、2億円を税務署に納税することになります。

 このように、大企業は仕入れの際には消費税を払いますし、税務署に消費税を納税してもいますが、それには販売の際にお客から受け取った消費税が充てられています。つまり、最終的に消費税を負担するのは消費者であって、この企業自身は負担していないのです。大企業は、「形式的には消費税を払う」が「実質的には負担はしていない」ということです。

 中小零細事業者の場合には、大企業との価格競争の中で、販売価格に消費税を上乗せできない場合があります。下請け業者の場合には、納入先の大企業から「消費税分をまけろ」と納入価格の引き下げを迫られ、消費税を受け取れない場合もあります。こうした中小零細業者の場合には、身銭を切って消費税を負担する場合もありますが、大企業は基本的にはこういうことはありませんから、消費税は負担しません。

次に、消費税率を上げた場合ですが、税率を上げても、富裕層から多くの消費税は取れません。富裕層は、収入の大半を消費税がかからない貯蓄や株・土地の購入などに使い、消費支出の割合が低いためです。事実、年間収入約300万円の世帯では86%を消費に使いますが、1400万円を超える世帯では半分以下の42・7%にすぎません。

 1億円の年収の方を例にあげます。この方は、所得税・住民税、社会保険料などを納め、残りは貯蓄や株・土地の代金にし、一定額―2000万円を消費すると仮定します。そのすべてを国内で使ったとしても、消費税額は5%の100万円です。消費税率を10%に引き上げた場合、増税額は2000万円の5%で100万円となります。

 一方、仮に、富裕層の所得税率を5%上げれば、500万円の増収になり、消費税を5%あげた場合の5倍の税収になります。

 しかも、「消費税には逆進性がある」ため、税率引き上げは、庶民に重くのしかかります。政府の調査でも、年収に占める消費税の割合は、年収300万円の世帯で4・2%、一方、1500万円以上の世帯では1・4%にすぎないことが示されています。

(出所:http://www.jcp.or.jp/faq_box/zaisei_zeisei_index.html)


2007-10-22 17:03  nice!(0)  コメント(15)  トラックバック(33) 

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女衒と辰

大変分かり易い内容ですね。日本の税制の矛盾点が良く理解できました。

もう一つ税制で問題なのは申告納税原則から給与所得者を外していることです。給料から天引きされ、年末調整なるもので一見納税者に利便性があるようですが決してそうではありません。

この事が、多くの給与所得者に税金関して無関心にさせている元凶です。サラリーマンも全て確定申告するように改めるべきです。

消費税で言えば、絶対に税金に消費税を掛けるべきではないと考えます。何時も車に給油する時、その矛盾を痛感します。

税金負担を考える時、仰せの通り、健康保険や年金負担等々も含めた送金額で論じるべきでしょうね。

低収入のわが身で考えても、所得税や住民税より、国民健康保険料の高負担は骨身に染みます。

喜んで税金が払える(今より負担増になろうとも)ような福祉国家の実現を希望します。
by 女衒と辰 (2007-10-22 20:18) 

wakuwaku_44

赤旗は、こういうのをよくやらかすんですよね~。(ため息)

シャウプ勧告というのは、次の時代背景によって出てきたものです。
1.戦争直後で経済が疲弊しきっており、間接税の徴収が厳しいこと。
2.新円発行とそれに伴う預金封鎖で、消費市場が冷え切っていたこと。
3.とにかく「カネのあるところから徴収する」しか、税を確保できなかったこと。
つまり、経済が最悪で、「これしか手がない」という状態だったわけです。
ただし、そこまでの強烈な税収確保をしても、今とは比較にならない市町村合併が行われました。夕張市みたいな地方自治体の「倒産」が相次いで起こったからです。

直接税中心主義が機能してきた理由としては、人口構成があります。
高度経済成長のときは、人口はピラミッド型であり、「勤労者世代が多かった」ために、直接税で十分賄えたのです。

現在は、これからますます高齢化社会になります。人口も逆ピラミッドになっていき、直接税中心だと勤労者世代への課税がさらに重くなることは確実です。
生活必需品への課税については、「税の安定収入」を本当に実現するならば、それが最も適切なわけであって、『社会保障の財源を消費税で』というのは、理論的にはあながち間違っているわけではありません。

共産党が掲げる税のあり方は、はっきり言って危険極まりないんです。数字の辻褄についても、短期的には確かに共産党の主張は間違ってはいませんが、40年後・50年後については、それこそ大企業大銀行の全財産を根こそぎ奪わないと福祉は実現しないぐらいの危険性があります。(そのあたりは、共産党自身、おそらくわかっているんだと思います。)


ただ、勘違いしていただきたくないのは、私は何も消費税を上げろとか、そういうことを述べているのではありません。
私が言いたいのは、税の話というのは、本当に難しいんだ、ということなんです。いろんな角度から検証しないといけませんし、正直、私も税の議論になると自説に自信を持ちきれないんです。
by wakuwaku_44 (2007-10-22 23:53) 

東西南北

 maiさんへ

 おー。記事にしてくれてありがとー。赤旗というか日本共産党は、現在の自公政権によって苦しんでいる人間をどうのようにして自由にするかという見地から具体的に議会と職場、地域で活動している組織です。

 wakuwaku_44のような「あーでもない、こーでもない」といいながら、財界と自公政権を弁護している無責任な判断停止とはまったく異なります。

 上のコメントを見ても、共産党の記事をまったく読んでないですね。読解力がないです。単に、自分の思い込みをかいいているだけです。

 「 シャウプ勧告というのは、次の時代背景によって出てきたものです。
1.戦争直後で経済が疲弊しきっており、間接税の徴収が厳しいこと。
2.新円発行とそれに伴う預金封鎖で、消費市場が冷え切っていたこと。
3.とにかく「カネのあるところから徴収する」しか、税を確保できなかったこと。
つまり、経済が最悪で、「これしか手がない」という状態だったわけです。」

 読んでませんね。民主的税制は、税負担の公平をはかるために近代社会で確立してきた租税原則であり、税の時代背景は無関係です。

 直接税中心の原則は、税制は所得税、法人税など直接税を中心とし、消費税のような間接税によるべきではないという原則です。本来、税金は所得や資産に課税するもので、消費税のように所得のまったくない人からも一律に税金をとることは税負担の公平に反します。

 総合・累進制の原則は、所得をすべて合算した上で所得の高い人ほど高い税率をかけるという原則です。直接税中心でも一律税率では低所得者に重くなります。そこで所得が増えるにしたがって、税負担も重くする累進制が必要です。さらに累進制が正しく働くように、各種の所得を合算して課税する総合制をとることで、初めて税の公平確保がはかられます。

 生計費非課税の原則は、国民の最低生活費には課税してはならないという原則です。憲法二五条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を税制につらぬく上で、不可欠の原則です。

「直接税中心主義が機能してきた理由としては、人口構成があります。高度経済成長のときは、人口はピラミッド型であり、「勤労者世代が多かった」ために、直接税で十分賄えたのです。

 現在は、これからますます高齢化社会になります。人口も逆ピラミッドになっていき、直接税中心だと勤労者世代への課税がさらに重くなることは確実です。
生活必需品への課税については、「税の安定収入」を本当に実現するならば、それが最も適切なわけであって、『社会保障の財源を消費税で』というのは、理論的にはあながち間違っているわけではありません。」

 消費税と法人税、所得税の実態を無視した出鱈目ですね。

 1:消費税導入後16年間に、社会保障は拡充されるどころか、改悪が続きました。サラリーマンの医療費は1割負担から3割負担になり、年金も削られました。この16年間の消費税収148兆円に対して、法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)の税収は、この間に合計で145兆円も減りました。

 2:消費税率を上げた場合ですが、税率を上げても、富裕層から多くの消費税は取れません。富裕層は、収入の大半を消費税がかからない貯蓄や株・土地の購入などに使い、消費支出の割合が低いためです。事実、年間収入約300万円の世帯では86%を消費に使いますが、1400万円を超える世帯では半分以下の42・7%にすぎません。

 1億円の年収の方を例にあげます。この方は、所得税・住民税、社会保険料などを納め、残りは貯蓄や株・土地の代金にし、一定額―2000万円を消費すると仮定します。そのすべてを国内で使ったとしても、消費税額は5%の100万円です。消費税率を10%に引き上げた場合、増税額は2000万円の5%で100万円となります。

 一方、仮に、富裕層の所得税率を5%上げれば、500万円の増収になり、消費税を5%あげた場合の5倍の税収になります。

 しかも、「消費税には逆進性がある」ため、税率引き上げは、庶民に重くのしかかります。政府の調査でも、年収に占める消費税の割合は、年収300万円の世帯で4・2%、一方、1500万円以上の世帯では1・4%にすぎないことが示されています。

 「共産党が掲げる税のあり方は、はっきり言って危険極まりないんです。数字の辻褄についても、短期的には確かに共産党の主張は間違ってはいませんが、40年後・50年後については、それこそ大企業大銀行の全財産を根こそぎ奪わないと福祉は実現しないぐらいの危険性があります。(そのあたりは、共産党自身、おそらくわかっているんだと思います。)」

 意味不明ですね。将来のことをいえば、出生率を過大に見積もって年金改革を実現した自民党と公明党の方が危険きわまりないでしょう。自民党と公明党が将来不信を増幅させているのが事実なんですが。持続不可能だと感じて未納者が増えてますし、不安定雇用で持続可能なんでしょうか?ま、wakuwaku_44は現状をどうする対案を示すんでしょうね。わからんから放置ですかね。ということは自公政権の現状維持ですね。
by 東西南北 (2007-10-23 00:55) 

wakuwaku_44

maiさんへ

赤旗しか評価しない投稿者には十分注意してください。

>本来、税金は所得や資産に課税するもので、消費税のように所得のまったくない人からも一律に税金をとることは税負担の公平に反します。

これは100%間違っています。
税金の性質には、「所得の再分配」もありますが、「公共サービスの受益に対する負担」という意味もあります。
ただ、社会の安定的な維持を確保するために、「所得の再分配」機能を発揮させる意味から、担税力に応じた累進課税制度が万人に最も納得される制度だ、ということはあります。

従って、「所得のまったくない人からも一律に税金を取ること」は、別に税負担の公平には反するわけではありません。『別の観点から考えたときに、最善の策であろうと考えられるもの』として、累進課税制度が導入されているのです。

>生計費非課税の原則は、国民の最低生活費には課税してはならないという原則です。憲法二五条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を税制につらぬく上で、不可欠の原則です。

これも100%間違っています。
仮に『生計費非課税の原則』が概念的に認められるとしても、「健康で文化的な最低限度の生活とは何か」ということが明確ではないのです。
「食料品は非課税だが、その他は課税対象」とするならば、「高級料亭しか出てこない神戸牛は非課税だが、一般家庭に普及しているエアコンは課税対象」の理論が成立してしまいます。
従って、『生計費非課税の原則』なる原則は、定義づけの問題から、実際にそれを機能させることは難しい、ということになります。


直接税の最大の欠点は、「課税対象者の減少が、税収減の原因となる」ことにあります。高齢化社会において直接税にシフトした税制を継続すると、「少ない課税対象者で、多くの社会保障受益者を養う」ということは確実であり、いずれは限界が見えてきます。

どこで税を集め、それをどう使うのか、というのは、国民福祉の維持向上のみならず、景気や安全にも関わる重大事ですから、単純に「直接税中心だ」ともいえないし、「消費税をもっと上げろ」ともいえるものではありません。

「社会の革命的な変化が必要」というのは、「受益と負担」「景気と福祉」「論功行賞と最低限の保証」等、いろんな角度から検証し、その最大公約数を見出し、それを常に再検証しながら、状況に応じて変えていくことが必要だ、ということです。どちらか一方に偏っても、その反対側も成り立たなくなるのが社会であって、それゆえに慎重な対応が求められます。


福祉政策を重点的に行うというのは、資源を福祉に最優先かつ重点的に投入するということであり、その他の分野への資源投入は減少するという話です。
福祉や教育だけで社会は成り立っていませんし、特に日本は化石燃料が自国では必要数を賄えない。第一、日常生活に必要な分野は、福祉だけではないのです。
それゆえに「最大公約数」と「バランス」を常に頭の中に入れて語らないといけない、ということになります。
by wakuwaku_44 (2007-10-23 13:25) 

女衒の辰

宗教法人に対する税制強化が必要ではなかろうか。車で走っていてもビックリするような建物に出会うとそれは殆どが宗教法人(宗教法人モドキかな?)の建物です。

他にも、公益法人でありながら公益性の薄い法人が税制的に優遇されています。

庶民いじめの消費税増税などしなくっても課税制度を抜本的に見直せば増収は可能です。

それより、税金の使い道を精査すればそもそも増税せずとも減税が充分可能なのではないでしょうか。

政府の喧伝に乗っかっては駄目です。

東西南北さんやmaiさんのように論理的に記述できませんが、庶民の戯言と捕らえてください。

残念なのは庶民の中に(庶民でないのかな?)まんまと政府の喧伝に毒されたwakuwaku_44 さんのような方がいることです。
by 女衒の辰 (2007-10-23 16:28) 

東西南北

「税金の性質には、「所得の再分配」もありますが、「公共サービスの受益に対する負担」という意味もあります。
ただ、社会の安定的な維持を確保するために、「所得の再分配」機能を発揮させる意味から、担税力に応じた累進課税制度が万人に最も納得される制度だ、ということはあります。

 従って、「所得のまったくない人からも一律に税金を取ること」は、別に税負担の公平には反するわけではありません」

 またもや、wakuwaku_44 は嘘を書き連ね、消費税増税への道を拓いております。

 民主的税制は、税負担の公平をはかるために近代社会で確立してきた租税原則であり、税の時代背景は無関係です。以下、 消費税は、ほかの税とどこが違うのでしょうかという点に注目して、説明します。

 必要経費
 
消費税といちばん違うのは所得税ですから、まず所得税についてみてみましょう。所得税の仕組みは、(1)「収入―(マイナス)必要経費あるいは原価=課税標準」(2)「課税標準―人的控除および特定支出控除=課税所得」(3)「課税所得×税率=算出税額」(4)「算出税額―税額控除=納税額」となります。

 ここで重要なことは、「必要経費」に配慮しているということです。もし「必要経費」に配慮せず、「収入」にいきなり税金をかけたらどういうことになるでしょう。

 「必要経費」そのものには税金を負担する能力がないのに、「必要経費」も含めた「収入」に税金がかかります。このため、「収入」から「必要経費」を引いた残りである「付加価値」から税金を払うしかなく、負担能力以上の負担をすることになります。「必要経費」を控除するということは、担税力(税金を負担する力)を正確に計算しようという考え方から出てきているもので、所得税は税制の近代化を示しています(以上は、谷山治雄著『ものがたり税制改革』から)。

外形課税
 
 これに対して、消費税は、担税力など無視した「外形課税」に近い、反近代的なものです。

 日本では、鎌倉時代に「地口銭(じぐちせん)」という税金がありました。これは「土地の間口ごとに一定の基準をもって賦課され」、「京都では十二世紀半ば以降には土地の面積を間口と奥行きで表す」ようになり、面積に税金をかけるようになったといわれています(佐藤和彦編『租税』)。

 要するに、(1)目に見えるものに課税する(2)目に見えなくても、消費など、簡単に把握できるものに課税する―ということです。これだと、所得があろうがなかろうが、赤字法人であろうが利益法人であろうが、課税できます。

 「現代の租税は、窓税、扉税、土地・家屋税のような外形課税、人頭税のような税金から、収益税、所得税へと発展してきたのです」(谷山治雄同著)。

 消費税を「基幹的な税」だとする政府税制調査会の考え方は、時代逆行といわなければなりません

 「これも100%間違っています。仮に『生計費非課税の原則』が概念的に認められるとしても、「健康で文化的な最低限度の生活とは何か」ということが明確ではないのです。
「食料品は非課税だが、その他は課税対象」とするならば、「高級料亭しか出てこない神戸牛は非課税だが、一般家庭に普及しているエアコンは課税対象」の理論が成立してしまいます。従って、『生計費非課税の原則』なる原則は、定義づけの問題から、実際にそれを機能させることは難しい、ということになります。」

 これは論外でしょう。所得のない人も生活するのに消費するのであり、所得のない人からも税金を徴収するという暴力だからです。極めて非人間的で異常です。このような冷酷な措置に対して激怒してはどうでしょうか?

「直接税の最大の欠点は、「課税対象者の減少が、税収減の原因となる」ことにあります。高齢化社会において直接税にシフトした税制を継続すると、「少ない課税対象者で、多くの社会保障受益者を養う」ということは確実であり、いずれは限界が見えてきます。」

 ゆえに、少子化対策としては、雇用問題、将来不安をなくすことです。税制については先の民主主義税制の原則を堅持するということです。
 
by 東西南北 (2007-10-24 00:48) 

wakuwaku_44

>宗教法人に対する税制強化が必要ではなかろうか。車で走っていてもビックリするような建物に出会うとそれは殆どが宗教法人(宗教法人モドキかな?)の建物です。

税制強化の前に、「控除対象の厳格化」が必要だと考えます。
領収書を発行しないで現金を受け取るケースが非常に多いのが、宗教関連の特徴ですが、まずはこれをクリアにしないといけない。
例えば、宗教法人としての非課税または優遇については「銀行口座を通じて行われた寄付に限る」とかです。言い換えれば「寄付」に相当する内容の取引であったとしても、銀行口座等を通じなければ課税対象とする、ということです。
まずは、そこから始めなければならないと考えます。そうしなければ、いくら税制強化を唱えても、その実効性について課題が残るだけだと思いますね。

>それより、税金の使い道を精査すればそもそも増税せずとも減税が充分可能なのではないでしょうか。

仮に防衛予算をゼロにしたところで、浮く金額は約5兆円です。これは基礎年金支給額の1/3の数字でしかありません。(平成19年度で14.7兆円)
しかも、この総支給額は、いくら「ひとりあたりの支給を改悪」をしても減らすことは基本的には不可能なわけで、『当面はなんとか凌げた』という話にしかなりません。

従って、一時的に減税は実現できても、いずれは増税になってきます。
ただし、「どこから税を得るのか」という議論は別です。直接税の累進制度を旧に戻すのか、あるいは消費税等でやるのか、というのは、技術的な話となります。

>政府の喧伝に乗っかっては駄目です。
>残念なのは庶民の中に(庶民でないのかな?)まんまと政府の喧伝に毒されたwakuwaku_44 さんのような方がいることです。

政府の喧伝に毒されたとは失礼極まりないですね。発言の無条件撤回を要求します。
by wakuwaku_44 (2007-10-24 04:28) 

wakuwaku_44

maiさん、その他のみなさんへ。

共産党やそれを支持する人たちは、よく「民主的○○」と呼びますが、『何をもって「民主的」というのか』がアバウトすぎます。要するに、「労働者や社会的弱者側に立っているぜ」というイメージを与えるために使っているだけなのだろうと推測されますが、自由主義経済推進者はおろか、共産党を除く福祉政策を推進している人からも相手にされていない論なので、こんなのは無視するのがベターです。


直接税と間接税のことをいろいろ述べた方がいますが、時代背景というか、社会背景を考えない税制度というのはありえません。

maiさんが反発するであろう、株譲渡益についてお話します。(笑)
株譲渡益に対する課税は20%から10%に引き下げられました。
これは、日経平均株価が7000円台にまで下がったことを背景に、株式市場活性化のために行われたというのが1つの背景としてあります。


しかし、もう1つの背景もあります。

バブル絶頂期の日本企業は、その資金調達を融資に依存していました。
家計に例えるならば、「住宅ローン・車のローン・冷蔵庫やエアコンもローン、ベッドや洋服もローンで買っていた。」ということです。ローンは金利をつけて返さなければなりません。しかも、収入が減っても免除されることはありません。そういう状態に日本企業はあった、ということです。

自己資本を増やそうというのは、「住宅や車みたいなのはローンで買うが、冷蔵庫やエアコン、洋服とか、できるだけ給料で買えるようにしよう。」というものです。もちろん、家計と違って、上場株は配当という株主への還元がありますから、まったく同じというわけではありませんが、基本的な考え方としては、こういうことです。

つまり、株譲渡益税の引き下げとは、「貯蓄から投資へ」ということで「企業が借金に頼らないで、安定的に経営ができるようにする」ことに誘導したということでもあるのです。

株譲渡益についてお話しましたが、税というのは、経済や社会に多大な影響を与える要素ですから、単純に「直接税中心でやれ、累進課税を強化しろ」とはいえませんし、逆に「累進税率を引き下げろ、不足分は消費税で賄え。」ともいえません。
ゆえに、自民党や公明党の案のみならず、民主党、共産党、社民党の考えもまた、全面的に否定できないが肯定もできない。どこが最も最大公約数となるのか、という作業が必要となってくる、という話なんですね。
by wakuwaku_44 (2007-10-24 05:31) 

mai

私は財政について、「こうあるべきだ」というほど深く勉強しているわけではありません。ですからこの記事も、こういう考え方もある(そして、私はうなずける点も多い)という意味で掲載しました。読者の方が考える際の資料の一つになれば嬉しいです。

>女衒の辰さん
コメントありがとうございます。確かに、確定申告をすると税のしくみや自分の納税額について、たいへん敏感になりますね。天引きよりはずっと意識が高まるだろうと思います。ただ、些末なことですが、いまでさえ申告会場はけっこう混雑しているので、給与所得者も確定申告をするとなれば、郵送、PCを介してという方法をさらに充実し、さらに申告会場を増やすなどは必要でしょう。

国保料は本当に高いです。高い保険料を払った上にさらに、窓口で3割(高齢の方は所得によりますが、人によっては2割)負担。ためいきが出ます。国保料を下げろという署名が回ってくると、私は必ず署名しています。

宗教法人も、あの湖岸一等地の某団体の建物をみると、考えてしまいますね。

とりあえず、日本の税体系とその使途をすべてきちんと国民の前に明らかにさせて、その矛盾点、改善点を明らかにしていくことから始まるのではないでしょうか。何の資料も示さずに「社会保障費が足りないから消費税を上げたい」では、到底納得できません。

私信ですが、27日の件、ありがとうございました。うまく手続きできました☆
by mai (2007-10-25 11:20) 

wakuwaku_44

maiさんへ

>国保料は本当に高いです。高い保険料を払った上にさらに、窓口で3割(高齢の方は所得によりますが、人によっては2割)負担。ためいきが出ます。

おそらく医療費の自己負担の話だと思いますが、国保も社保も、今は一律3割ですね。
社会保険組合は赤字が多くなってしまい、「組合の倒産」が懸念される状況にまで陥っています。そのため、診療報酬の改定や薬価差益問題等、どんどん切り込んでいっているわけですが、持続が難しいので負担も増やしている、というのが現状です。

ただ、maiさんに考えていただきたいのは、『そもそも、保険っていうのは、不幸になったときに使うものなんだ』ということを忘れちゃいけないということです。

『不幸が発生しても、できるだけその損害を防げる保険制度(=自己負担が1割とかに戻る)の整備』も大切です。そうじゃないと『安心して生活する』ことができません。
しかし、『不幸自体、できるだけ発生しない条件づくり(=予防)の整備』も大切です。そもそも病気なんて誰もしたくないですし、事件や事故もあって欲しくないわけですから。

国民レベルで「予防」に取り組むことを同時並行で行えば、「ひとり当たりの保険支給額が増額=自己負担の減少」と「保険支出の総額の減少」が実現できるかと思います。
この方向に向かうことが大切なんじゃないかなって思いますね。

(自己負担を軽減することについては、私はmaiさんに賛成です)
by wakuwaku_44 (2007-10-25 11:47) 

wakuwaku_44

maiさんへ 財政について

>私は財政について、「こうあるべきだ」というほど深く勉強しているわけではありません。

基本的に「こうあるべきだ」というのはないですよ。
目標、課題、社会情勢、必要性、実現性など、いろんな角度から検証し、最高のパフォーマンスを実現するための財政ですから。

例えば、お子さんが小学生のときと中学生のときでは、「使い方」は異なると思います。また、家の収入によっても「使い方」は異なってくる。
雨が降れば傘が必要ですし、寒いときはコートが必要、汗がたくさん出る季節にはシャツがたくさん必要になる。

だから、税や財政の問題というのは、私も「絶対にこうすべきだ」と断言できる自信がないほど難しいんです。
by wakuwaku_44 (2007-10-25 11:56) 

東西南北

 またもや、wakuwaku_44 は不労所得のギャンブル経済を煽る反民主主義的な発言を繰り返してますね。

 「株譲渡益税の引き下げとは、「貯蓄から投資へ」ということで「企業が借金に頼らないで、安定的に経営ができるようにする」ことに誘導したということでもあるのです。

株譲渡益についてお話しましたが、税というのは、経済や社会に多大な影響を与える要素ですから、単純に「直接税中心でやれ、累進課税を強化しろ」とはいえませんし」

 自己資本を増やすには、ギャンブルを煽り、「貯蓄から投資へ」政策誘導するという最悪の主張です。民主主義税制は上でも述べたように、「貯蓄から消費生活と労働条件向上へ」なのです。ゆえに、単純に「直接税中心で総合累進化全でやれ」ということなのであり、どのような時代であれこれが人間らしい民主主義税制の原則としての法です。

 wakuwaku_44は時代や状況によって、ギャンブル経済による不労所得を拡大し、大衆課税、庶民増税である消費税を引き上げる暴力を行使するということです。
by 東西南北 (2007-10-28 06:02) 

東西南北

 参考です。wakuwaku_44によれば、以下のようなものも時代背景や状況によっては認めるんです。彼は人間失格であり、反民主主義経済主義者です。

 自民党の「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」(会長・野田聖子衆議院議員)が昨年六月「ゲーミング(カジノ)法案基本構想」を打ちだし、超党派での議員立法提出をねらっています。

 これまで構造改革特区法にもとづいて、何件もの「カジノ特区」が提案されてきましたが、カジノは刑法第185条(賭博罪)、186条(常習賭博罪)で禁止されているとして政府も認めていません。

 そのため、大阪府知事など五都府県がカジノ実現のための特別法の検討を政府に要望、03年には東京、神奈川、静岡、大阪、和歌山、宮崎の6都府県の担当者で「地方自治体カジノ研究会」がつくられ、15道府県がオブザーバー参加しています。鉄鋼やゼネコンなど大企業でつくる日本プロジェクト産業会議(JAPIC・会長・千束晃新日本製鉄会長)も、世界各地のカジノを調査し、報告書を発表し、後押ししています。

 地方財源が大幅削減され財政がきびしくなるもとで、地方経済の活性化、観光産業の振興、雇用創出などの切り札としてカジノ合法化を求める動きがあります。しかし、カジノ解禁は暴力団の介入、青少年育成への悪影響、ギャンブル依存症の増加、治安悪化など社会的にも多くの問題があります。カジノが税収を増やし、雇用を創出するとしてバラ色に描くのはあまりにも空想的です。地方財政がいくら大変だからと言っても、カジノ=賭博を活用して地域経済を活性化しようなどということは本末転倒です。

 カジノが国内で1カ所でも認められるならばその利用者は国内外に広がり、その影響は国全体に広がることになります。
by 東西南北 (2007-10-28 06:07) 

wakuwaku_44

株式市場の存在意義は、企業が自己資金を調達することと、株価が高くなると、増資しやすくなりますし、融資枠も増えます。
あと、株主は企業への発言権を持つことになりますから、ガバナンス(統治)の上でも意味があります。

「投資家」というのは、その企業を成長させることに意義を感じます。
もちろん、責任も負うわけですから、ゼロ配当も覚悟です。もっとも、事業提携と責任の分担を目的に株を譲渡される企業は、配当も株譲渡益も考えていません。
上場までの「成長」を応援する投資家も、配当は問題にしておらず、キャピタルゲインに期待はしていても、当然「株が紙くずになる」という覚悟もしています。

ギャンブルとは「投機」を指しますが、一部の乱高下する「安く手に入る」銘柄の企業でもない限り、ギャンブルはそもそも「ありえません」。
なぜなら、個人でそこまでのカネがある人などほとんどいないからです。機関投資家も、投資する資金そのものを顧客から預っているわけですから、ギャンブルに使えるはずもない。企業単位だと、そもそも「会社のカネであって自分のカネではない」ので、これも投機に使うわけにはいかない。

こういう実態を知らずして、「最悪の主張」だの「反民主主義的発言」だのとほざく東西南北氏の考えというのは、おそらく「自分で会社つくるな。既存企業に勤務しなさい。」というものなんでしょう。
まぁ、「投資じゃなくて貯蓄で」ということで、東西南北氏は銀行を応援したいんでしょうね、おそらく。融資は企業業績に関係なく、融資に対する金利をもらえるんですから。
by wakuwaku_44 (2007-10-28 11:35) 

wakuwaku_44

あと、私のブログは承認制です。
といっても、これは別に「気に入らない投稿を削除する」ものではありません。
東西南北や薩摩長州という悪意を持った「排除目的」の投稿者の投稿を防止するための措置です。
maiさんたちについては、ウェルカムです。ただ、そんなに難しいことを話す気はありませんから、存分に遊んでいってください。
by wakuwaku_44 (2007-10-28 11:39) 

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