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教育について斎藤貴男さんの講演(1) [学校と子ども]

先日、教育をテーマとした集会で、ジャーナリストの斎藤貴男さんの講演を聴いてきました。著書は何冊か読んでいましたが、実際にお話を聴くのは初めて。実物の斎藤さんは体格が良く、なかなかハンサム。ノーネクタイのブレザー姿がよく似合っていました。熱っぽい語り口でわかりやすく説明してくださったのですが、時節柄、やはり暗い話題が多くて、それはもう仕方がないのですが、ちょっと寂しかったです。

メモを見ながらの走り書きになりますが、講演の内容を書いておきます。
・いま、日本はとんでもない状況になっている。改憲準備法案(衆議院)も米軍再編法案も強行採決された。行き着く先は戦争立国だ。戦争立国というのは、絶えず戦争をしていないと回っていかない国のことで、一度なってしまうと取り返しがつかない。後戻りができない。

・アメリカはまさに戦争立国であり、貧しい家庭の男の子は兵士となっている。いま軍隊が解散したら失業者だらけになる。雇用だけではない。例えば、日本では障害者の共同作業所では企業の下請け仕事は取りにくくなっているが、アメリカの共同作業所は安定した仕事を得ている。それはなぜかというと、軍隊の下請け仕事がたくさんあるから。つまり戦争がなくなると福祉も成立しないという社会である。

・昔、マンガのイヤミは「おフランスでは・・・」という口癖だったが、前大臣の竹中平蔵氏を始めとして政府・財界では、「アメリカはすべて善」という価値観が横行している。

・京都ではタウンミーティングでの応募者排除を始めとして、ジュニア京都検定、Student City、Finance Parkなど、国の教育政策のleading caseとなっている。その「功績」で京都の教育長は教育再生会議のメンバーにも選ばれた。ジュニア京都検定では京セラ、堀場製作所など地元企業を賞賛し、特定の価値観の植えつけを図っている。同様にStudent CityやFinance ParkではJunior Achievementといって、エッソ、モービル、IBMなど、多国籍企業の価値観に基づいている。

・日本がおかしくなってきたのはごく最近のことではなく、ずっとそういう流れにある。エポック・メイキングなのは8年前の1999年だろう。国旗国歌法、住基ネット、盗聴法(通信傍受法)、周辺事態法など、たいへんな法律が次々にできた。

・12月に成立した新教育基本法にはたくさん問題があるが、1点目として、「国を愛する態度」を求めていること。この表現(愛国心と書かない)は自公の妥協の産物なのだが、これはある意味、愛国心よりたちが悪い。「心の中まで入っていないのだから憲法違反ではない」と言われる。しかし、態度として評価の対象になる。他にも、2条では教育の目標として、20もの徳目が書かれている。

・例えば、授業で「我が国が戦争状態になりました。あなたはどうしますか?」という質問に対して、「自衛隊に志願し、特攻隊にも入ります」(男の子)、「子どもをたくさん生みます」(女の子)などと答えたら5で、「反戦活動をします」と言ったら1だろうか? 奉仕活動を必修化し、道徳心を評価することになる。

・2003年10月の通達以来、東京では日の丸の強制はすごい。式の時には必ず壇上に国旗・都旗・校旗を掲げるように言われ、障害児が通う養護学校では証書を受け取りに壇上まで上がれないので壇の下ではダメかと言ったらダメで、車椅子で上がれるように何百万円もかけてスロープを作ったという学校もある。新設の永福養護学校では各教室の黒板の上に常時日の丸が張られる。

・東京都の特別支援教育では、全体の予算は増やさず、重い障害の子どものための学校を減らして、軽い知的障害の子どもの学校を増設している。親たちは反目している(学校を減らされた親たちは、増えた方の親に反感を持つ)。

・とにかく都知事の石原氏はことあるごとに「差別したい」という人物。一方、京都では、伝統と企業精神を結びつけるかたちで国の方針を先取りしている。

まだまだたくさんあるのですが、時間の関係でここでいったんおしまいにします。次は教育格差の話題です。


2007-05-07 15:22  nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

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ゆき

まいさん、講演会良かったですね。私は高橋哲哉さんと斉藤貴男さん共著の「平和と平等をあきらめない」という対談集にはずいぶんと励まされましたよ。2004年の出版ですがとてもわかりやすく良い本です。斉藤さんの話の中にに「教師は辞めるのなら玉砕してくれなければ困る。ちゃんと戦って辞めてくれないと。」という文があって、これは仲間に受けましたね。これでもまだ足りないのか、ってね。
私は自分なりに精一杯戦ったつもりですが、戦うということは満身創痍になることなのですよ。「傷だらけだねえ。」とお互い慰め合ったものです。
by ゆき (2007-05-08 22:30) 

mai

タマラさん、いつもありがとうございます。とても励みになります。今回も斎藤さんは先生方に向けて(一般向けだったのですが、テーマが教育だったので先生方も多かったようです)、「最近の講演会で最後にいつも言っているのですが、辞表を胸にして、言いたいことは我慢しないで戦ってください」と言っておられました。私たちが聴くとちょっと?で、それは酷かなあと。でも、現場で戦っておられる方はたくさんいるのですね。私も他職種ですが、燃え尽きて、もう心身ともにもたなくなって楽な職場に移りました。もうちょっと頑張ったら・・という気持ちもありますが、もう自分なりに精一杯やったとも(戦ったわけではありませんが)。いずれにしても人間がそれほど消耗せずに生きられる社会になってほしいです。教えていただいた本、読んでみますね。
by mai (2007-05-09 16:19) 

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