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議員さんへの情報提供は大切かもしれません [政治の不思議]

よく通る道沿いに民主党の事務所があります。一度、訪ねてみようと思っていましたが、なかなかきっかけがなく、先日やっと行ってきました。私は個人的に、憲法9条・メッセージ・プロジェクトの本を配る運動をしているので(本当は売りたいのですが、いまのところ無料配布です)、民主党の方々にも読んでいただきたかったからです。

このプロジェクトは文字通り、憲法9条を守ろうという趣旨で企画されたものですが、先日の記事に書いた伊藤千尋さんの講演など、よそではなかなか知らされない情報が多く(ほかにはベトナム帰還兵のアレン・ネルソンさん、元セゾングループの辻井喬さん、イラク人医師のモハメッド・ヌーリ・シャキルさんの講演などがあります)、憲法についての考え方の違いを超えて、考える材料の一つとしてたくさんの人に知っていただきたいと思っています。

そういうわけで、話を聞いてくれた男性秘書さんらしい方に憲法9条・メッセージ・プロジェクトの本を数冊お渡ししました。かなり近い地域でしている運動ですが、秘書さんはプロジェクトの名前も本もご存知ありませんでした。この活動はかなりマイナーなので、知られてなくても不思議はないと思いますが、ちょうど私のカバンに伊勢崎賢治さんの「武装解除」が入っていたので、取り出して「こういう『国際貢献』はどう思われますか?」と尋ねましたが、今度は伊勢崎さんの名前をご存知ではありませんでした。

リベラル派のブロガーの間では伊勢崎さんを知らない人は(著書は読んでいなくても)ごく少数だと思うのですが、一般の方はもちろん、議員秘書さんでもみんなが知っているわけではなさそうです。では、その秘書さんが特別に不勉強か?と言えば、そんなことはないと思います。これまでの人生で議員さんと面会したこともなかった私ですが、教育基本法の問題以来、時々お会いする機会ができて、ちょこちょこお話ししています。それで感じたのは、「議員さんは忙しい」ということです。議案を読んだり、質問を作ったり、専門分野の勉強をしたり。議会のない時には視察をしたり、陳情を受けたり・・・とにかくすることが多いようです。ある女性議員さんは「友達から、『あの本読んだ?』とか、『あの映画良かったよ』と言われますが、どれも知りません。忙しすぎて味気ない人生を送っています」とおっしゃっていました。

彼女は教育問題が専門で、いまでも教育基本法改正反対をスローガンにしてくださっているのですが、「きのくに子どもの村」や高橋絵里香さんの「青い光がみえたから」をご存知でなく、フィンランドの教育改革のことも詳しくないようでした(だいぶ前のことなので、フィンランドが大きく取り上げられるようになった今では、よく知っておられることでしょう)。

また、教育基本法問題の時、国民新党に電話して男性秘書さんとお話ししたことがありました。国民新党は愛国心を重視しているので、私が「クオレならば好きで、あの本のなかの愛国心には説得力があるのですが・・・」と話すと、クオレをご存知ありませんでした。ちなみに、クオレは19世紀後半に書かれたイタリアの児童文学で、有名な「母を訪ねて三千里」などがその中に挿話として入っています。全編これ愛国心のかたまり・・・というような本なのですが、私はなぜかこの本が嫌いではありません(教育基本法が通ってからはさすがに読み返す気がなくなりましたが)。

話はそれますが、クオレが出版されたのが1886年ということで、計算してみると、その時に描かれている少年たちが社会の中核〜重鎮となったころ、イタリアはムッソリーニの独裁体制を許してしまうことになります。「愛国心教育」の成果が出たのでしょうか。日本でも、そういう歴史を辿らないよう何とか頑張らないといけないと思ったことでした。

国会の質疑で愛国心をあれだけ大切にすると発言している党の関係者が、第二次世界大戦の同盟国イタリアの愛国心教育のバイブルとなったような本を知らない。何だかためいきが出たことを思い出します。

いろいろと書きましたが、議員さんは私たち一般市民が知らない内部の情報を持っているかわりに、ブロガーだったらみんなが知っているだろうと思うようなことを意外に知りません。これはマスコミ関係者についても似たようなことが言えると思いますが、書き出すと長くなるので、そのことはまたの機会にします。

保坂展人さんのように、あれだけの仕事をしながらブログも更新して本も出版して・・・という人もなかにはおられますが、彼ほどにエネルギッシュなのはごく少数派だと考えた方がよいと思います。

私たち一般市民にできることとして、世の中にある良質な情報を議員さんたちに提供することは有効ではないかと思います。彼ら、彼女らに情報収集の時間がないようでしたら、かわりに私たちが情報をセレクトして、良心的な議員さんに渡して有効に活用してもらう。そういう役割ができるのは、私たちふつうの人ではないでしょうか。

この1年半、いろいろと動いてみて、私にできることとして、議員の方々へのそういう働きかけを一つの目標にしています。そして、反対に私たちの方が教えてもらうことも多いと思います。

ところで、私は細々と学生もしていて課題提出時期が迫っています。このところ、記事が手抜き気味だったのはそのせいもあります。教育を中心に書きたいことはいっぱいあるのですが、しばらくの間、更新頻度が落ちたり、転載が多くなったり、ブログに十分に力を注げないと思います。それでも読んでくださる方がいたら、ありがたい一方で申し訳ないです。課題が終わったらまたきちんと書きたいと思います。

<追記>
読み返してみると、私がとても物知りであるかのような誤解を与えそうに感じました。そんなことは全くありません(^^;)たまたま私が知っていたことをあげただけで、例が悪かったかもしれません。ただ、ブログ界でさあーっと流れている情報が、議員さんをはじめ、外の世界の人に全く伝わっておらず、「えっ」と思った経験は何度かしました。

宇宙基本法案でも先週金曜日午前に、参院委員会のメンバーである民主党の議員さんに連絡してみると、国立天文台の職員や大学の物理学専門家の方々が反対で署名活動までしているという情報は入っていませんでした。市民・専門家と政治家の間の情報流通がもう少し必要ではないかと思います。


2008-05-20 16:31  nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(3) 

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コメント 4

tamara

maiさん、お忙しいのにいろいろ活動していらっしゃいますね。
とにかく話をすること以外には、何かを伝えることはできず、話せる人数は限られているわけですから、できることだけやっていくしかないのですね。議員だからと言って社会の仕組みをわかっているわけではなく、「後期高齢者医療制度」などは推し進めた与党がわかっていないということも、たくさんあったようです。

by tamara (2008-05-20 22:15) 

mai

>tamaraさん
コメントありがとうございます。幸い、平日でフリーの日がありますので、本当にちょっとずつですが、動くようにこころがけています。後期高齢者医療制度など「法案の中身も十分に理解せずに賛成した」という話が聞こえてきますね。わかりにくい法案を(わざと?)作る官僚も問題ですが、自分の頭で考えず党の方針にそのまま従ってしまう議員の方々の行動も信じられません。私はできることをできる範囲で細く長くやっていこうと思っています!
by mai (2008-05-21 12:50) 

志村建世

9条プロジェクトの本の注文方法がわかったので、4冊注文しました。いろいろ出ているのですね。議員が忙しいのは事実ですが、ちゃんと勉強している人もいます。情報を入れてあげることは大切だし、本当は、話し合いの機会を作るのが、一番いいのです。秘書の役目も大切ですね。
by 志村建世 (2008-05-23 00:09) 

mai

>志村建世さん
9条プロジェクトの本をご注文いただき、どうもありがとうございます!私はこのシリーズの本初めて手にした時(「こんどの騙しはてごわいぞ」だったと思います)、あれほどコンパクトな冊子のなかに、本質を突いた情報がぎっしりと詰まっていることに感動しました。もっとページ数を増やしお金をかけて作られた良い本はたくさんあると思いますが、あの低価格(300円が主流ですね)で、あの充実した内容はとても価値があると思います。

編集しておられる方々にお目にかかりましたが、志の高さにも敬意を抱きました。志村さんの方が詳しいと思いますが、1冊300円ではほとんど利益が出ないまたは、経費を入れると持ち出しになるかもしれないのではないでしょうか。利益を度外視して求めやすい価格に設定しておられます。

1〜2時間もあればスラスラと読めてしまうところも、一般の方々に勧めやすいです。

ただ一点だけ、今後に向けて希望を述べるとすれば、同じことを表現する時にはできるだけ柔らかく優しい言葉を使っていただきたいと望みます。政治や社会にそれほど関心のない人〜保守派の方々にこそ読んでいただきたいので、パッと目に入る単語や小見出しで拒絶反応が起こるようなことになれば、とてももったいないと思います。

議員の方については、私の数少ない経験からの感想なので、拙い文章になったと恥ずかしく思っています。議員に対して、ちょっと甘かったでしょうか。ちゃんと勉強している議員さんと、話し合いの機会を持ってみたいです(時々お誘いを受けるのですが、ほとんどが週末または平日夜で外出できません)。私のような一般庶民の場合、よほどうまくアポイントメントが取れない限り、秘書さんとお話しすることになるので彼ら、彼女らの存在は大きいです。
by mai (2008-05-23 23:01) 

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