SSブログ

「親子で新聞を読もう」という記事に対して [メディアの姿勢]

のっけから言い訳っぽいですが、最近何となく雑用が多くて、しっかりとした構成の記事を書く余裕(精神的>時間的)がありません。このブログもどこかに投稿した短い文章の転載が続いています。それでも「小さな行動を起こした」という記録にはなるかもしれませんね。というわけで、今回は毎日新聞「記者の目」にコメントした文章です。

このブログでも何度か、新聞、TVに対するもの足りなさや、将来的な不安を書いてきました。最近のメディアで目立つ、批判精神の薄弱な表面的な報道が国民、特にこれからの世界を生きる若い人たちに及ぼす影響についてはいつも心配しています。

ところが、昨日ネットに掲載された毎日新聞の「記者の目」を読んで、そののんきさ、部外者の一市民でさえこれほど悩んでいるのに、当事者側の問題意識の希薄さにたいへん驚き、つい意見を投稿してしまいました。

以下がその記事です。「記者の目」は主に若手記者が順番で書いているようで、時には若い記者ならではの新鮮な視点で鋭い指摘のものもあり、しばしば覗いていますが・・・。

〜〜〜
記者の目:だから子どもと一緒に新聞を=森忠彦

 ありがたいことに、最近、小学生向けに発行している「毎日小学生新聞」への問い合わせをよくいただく。

 私たちが暮らす新聞業界全体は、年々顕著になる活字離れ、新聞離れに悩まされているが、「子どもにはきちんと新聞を読ませたい」という読者は増えているように思う。編集部にいただく電話で保護者の方(大半はお母さん)と毎日お話をするが、よく言われるのが「子どもに一般の新聞を読ませても読まない。実は私も難しくてよくわからない。子どもに説明できない」というご相談である。

 恐らく、多くの一般読者が毎日新聞をはじめとした日本の一般紙に持っている率直な印象ではないかと思う。現代が複雑怪奇で、かつ情報量も膨大ということもあるだろうが、新聞離れが進む理由の一つには、私たちが書く記事が専門的になりすぎ、時には「読者にわかりやすく」という基本を忘れてしまっていることもあるのだろう。

 毎日新聞の場合はそうした反省もあり、「なるほドリ」や「ニュースナビ」のように、事件や現象が基礎からわかるような解説を載せる紙面改革を進めてきた。かなりわかりやすくなったと思うが、それでもなお、お母さんたちの「子どもに十分説明できない」という声はなかなか消えない。中には、正直言って子どもに読ませたくないようなニュースもある。

 そういう状態だからこそ、やはり、子どもには子どもの目線でとらえるようにしている「子どものための新聞」の存在意義があると信じたい。まずは、こうした媒体があることを知っていただきたい。

 それにしても、子どもに新聞を読ませる家庭がどうして増えているのか。

 一つは、最近の中学、高校などの入試問題で、時事問題を使った出題が増えているためだ。例えば、今春の埼玉県内のある中学入試では、麻生政権になって直後に辞任した大臣のことが出題された。さあ、どれほどの大人が答えられるだろう?

 さらに、今春から小学校でも先行実施が始まった新しい学習指導要領で「授業の中で新聞を読む」という項目が加わったことだ。すでに多くの学校で新聞を教材にした授業が進んでいるが、今後はさらに踏み込んだ形で社会や理科、国語の教材の一部として活用される。大人では新聞離れが進んでいるが、子どもの世界は逆に動いているのだ。

 こうした動機はともかくとして、子どもたちに小さなころから社会への関心を持たせることは重要だと思う。小学生といえども、今の時代を生きる日本人の一人として、あらゆる社会現象にかかわって暮らしている。そのことを常識の範囲内で認識させるのは大人の責任だし、特に家庭の中で重要な役割を担っているのが父親だろう。

 先日の父の日に合わせて父子関係を尋ねたインターネットのアンケート(ニフティ)の調査結果がある。「休日に子どもと過ごす時間は?」に一番多かったのが「30分~1時間未満」15%。次いで「1~2時間」「2~3時間」とともに「0分」が14%もいた。7割の人が3時間未満だった。「会話する時間が持てない」(40代)という事情はわかるが、中には「共通の話題がない」(30代)という人もいた。

 この共通の話題を、あまり難しく考える必要はないと思う。必ずしも、子どもたちが好きな流行番組やゲームを知らなくてもいい。塾の問題が解けなくてもいい。子どもが父親に期待しているのはそんなことではない。父親が体験を通して話してくれる何かを待っているのではないか。

 例えば、追悼の波が広がるマイケル・ジャクソンさんの思い出でいい。間近に迫った衆院選挙って何?でもいい。この度の定額給付金で、子どもに大人よりも多い2万円が支払われたことの意味も一緒に考えてみてほしい。父親なら、自らの経験で今の不景気と、その中で支払われる給付金の意味が語れるだろう。

 こうしたことこそが、まさに生きた教材、教育なのではないか。学校や塾に任せず、社会のことは親がきちんと自分の体験と言葉で伝える。そのきっかけとして、子ども向けの新聞を教材にしていただけると、さらにうれしい。

 近年、教育現場で「PISA」(国際学習到達度調査)という言葉がよく登場する。単なる知識の多さではなく、物事の本質を理解し、考え、どう解決(実行)に移すかの力が問われる時代だ。私たちの世代はこうした方針で育てられることは少なかったが、だからこそ、子どもと一緒にその力を育てていきたい。

 間もなく夏休み。子どもたちは手ぐすねひいて待っています。たまには仕事よりも、子どもとの時間を優先しませんか。子どもにとっての一番の教師は、何よりも、身近な生身の大人のはずだから。

〜〜〜
これを読んで次のような文章を投稿しました。ちょっと白黒つけすぎで毎日新聞に厳しい要求をしているのかもしれません。いまのところ、わが家は新聞に幻滅して全国紙も地方紙もとっておらず、隅々まで読んだ上での批評ではないので的を射ていない箇所もあるかもしれない・・・とも思っていますが、全体的には日々考えていることです。

では読むに足る紙面を作ってください
小学生の子どもを持つ親です。教育基本法「改正」の頃から教育問題に関心を持ち、ネットで日々各紙を読み比べ、大手紙のなかでは毎日新聞が一番まともだと感じて購読もしました。

しかし、今では正直言ってどの新聞にも、特に全国紙には幻滅しています。政府発表の後追い記事が多く、重大な事柄についての本質的な説明が少ないです。しかも、マスメディアの批判的精神は年々薄くなるように感じます。

米国から送られ、日本の政策に大きな影響を与えている年次改革要望書を新聞は取り上げたでしょうか?ソマリア沖への自衛隊の派兵について、そもそもソマリア民衆の困窮や医療環境の悪化(5人に一人の子どもが5歳までに亡くなる)など「海賊」が出現する背景まで説明したでしょうか?

定額給付金についても、母子家庭や派遣切りにあった方々など本当に援助が必要な人に対して十分であるか?というと全くそうではないと思いますが、新聞にそういう批判的論調はありましたでしょうか。

私は全体としてみて(先日の教育関係の連載のように優れた記事もありますが)、新聞はもはや権力の広報、宣伝機関に近づいていると感じています。真実は書籍とインターネットの一部にしかないとたいへん落胆しています。

文科省が新聞を読むことを奨励することも、現状では権力や国策に従順な人間を作ることになるだけのように思います。新聞を勧めるのであれば、読むに足るだけの掘り下げた報道、健全な批判精神に溢れた記事を執筆してくださいとしか言えません。

〜〜〜
コメントとは離れますが、記者の目の記事中にあった、父親が休日に子どもと過ごす時間の短さに改めて驚きました。3人に1人弱が「30〜1時間未満」「0分」と答えています。もしかしたら、ここにも不況やその裏返しの長時間労働の影響が出ているのでしょうか。

新聞を読むとか家庭の教育力とかいう前に、親子が一緒に過ごせる時間をきちんと取れるようなシステム作りが急務だと思えます。

コメントが掲載されているページです。
https://my-mai.mainichi.co.jp/mymai/modules/weblog_eye103/


2009-07-06 18:25  nice!(2)  コメント(6)  トラックバック(7) 

nice! 2

コメント 6

志村建世

全国紙記者の現状認識が、よく出ていますね。公正な立場で立派な仕事をしているつもりでも、自分の会社を客観的に見ることができないのです。官僚が、国民に向けて広報の仕事をしているのと、ほとんど同じです。民間企業でも、組織が大きくなれば官僚化は避けられません。批判精神を忘れない「記者魂」は、どこかに残っていると信じたいですが。
(このコメントを、まいまいクラブの方にも入れてみます。)
by 志村建世 (2009-07-06 22:12) 

mai

志村建世さん、どうもありがとうございます。まいまいクラブの方にもご紹介いただき、恐れ入ります。そうですね。一般に組織が大きく強くなるにつれて、現状認識には甘さが出てくるでしょうね。出版状況にかげりが見られると言っても、やはり新聞記者は高給取りの「勝ち組」です(私がいた会社でも親会社の新聞社と横並びの給料だったので、そのあたりはよくわかります)。その恵まれた環境のなかで、批判精神を忘れず、弱者の視点に立ち続けるというのはかなり難しいでしょうね。

ところで毎日新聞大分支局長で藤井和人さんという骨のある記事を書く方がいたのですが、最近記事を見かけません。こういう方こそ中央で活躍していただきたいと思っていたのですが・・・。
by mai (2009-07-07 22:30) 

shira

 私は高校生には「新聞はコラム(というか外注の署名入り記事)だけ読め」と言ってます。自前の記事にもたまにいいのがありますが探すのが面倒。なので外注記事だけサーチするに限ります。
by shira (2009-07-08 18:25) 

mai

shiraさん
nice&コメント、どうもありがとうございます!なるほどー、そういう見分け方もいいですね。自社の記事は本当に玉石混淆(石が多い?)でたいへんです。そういえば、フィンランド在住の高橋絵里香さんと藤井ニエメラみどりさんのコラムを読みたいので半年間だけ朝日小学生新聞をとっていましたが、自前の記事はがっかりするものが多かったです(中学受験を勧めるみたいなものや文科省推薦みたいな)
by mai (2009-07-10 18:11) 

東西南北

 TBありがとうございました。そして、総選挙、どうもお疲れ様でした。

 今回の総選挙は二大政党キャンペーンの功罪という1点に尽きる、と思います。政権交代が実現した原因は国民の生活実感と二大政党キャンペーンの結合です。自公政権によって国民の生活は苦しくなる一方で、生活実感は最悪でした。そこで、マスコミの二大政党キャンペーンです。国民の多くは、民主党に対して違和感、不安感、胡散臭さを抱いていますが、もはや、自民党・公明党では「どうしようもない」という生活実態があった。そこで、政権交代を実現し、変化を求めた。マスコミは二大政党キャンペーンですから、民主党の大勝になったということです。

 こうした時に、議会情勢の実態を報道する「しんぶん赤旗」の役割が、ますます国民の公正な判断材料として必要になってきています。政権交代が実現したこれからの新しい日本の政治をどうしていくか?

 日本共産党の「しんぶん赤旗」を読まなければ、議会情勢や国民・住民運動、労働運動の情勢が国民の共通認識になりません。二大政党キャンペーンに流されないようにするには、日本共産党の「しんぶん赤旗」を読むことが最大の威力を発揮すると思います。

 追記:子供と一緒に学ぶのなら、広告・商業主義の大手の新聞なんかより、市販の書籍で日本国憲法と基本的人権について、学んだ方がいいように思います。あるいは、学校の教科書で社会や自然の仕組みをきちんと理解するように大人も一緒になって学ぶ方が体系的・系統的な知識になって教育上、優れている、と思います。
by 東西南北 (2009-09-04 17:41) 

mai

>東西南北さん
お久しぶりです☆コメントどうもありがとうございます。久しぶりにブログを見直していたら、東西さんからこの記事にTBいただいていました。レスポンスがたいへん遅くなって失礼しました。おっしゃることに同感です。特に、最後に書いておられるように、現状では一般紙で学ぶのはあまり良い方法とは思いません。憲法をベースとしてきちんとした書籍を親子で読む方がいいでしょうね。もちろん歴史的知識も正確にですね。しんぶん赤旗はその先見性に感心しています(主張していたことが何年も後になって大きく取り上げられたり・・・滋賀県の新幹線新駅など)。
by mai (2009-09-05 12:17) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。