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きのくにの運動会(応用できる行動をするちから) [きのくには楽しい]

先日、きのくに子どもの村学園名物といわれる運動会に行ってきました。予想通り、いえいえ予想以上にユニークで楽しく、心からリラックスできる一日でした。小規模校なのですが、子どもたち、卒業生、保護者、地区の方々、サマースクールに参加した親子など、びっくりするほどたくさんの人が集まりました(HPでは昨年は700人以上だったそうです)。そして、私のみるところ、来た人みんなの顔が穏やかで幸せそうで、運動会を本当に楽しんでいる様子でした。

ベテラン保護者としてまみさんが、「15周年を祝う会と運動会」と「きのくにはふるさと」というとても楽しい記事を書いておられますので、私は初参加の保護者予備軍という視点から書いてみます。

まみさんも書いておられる通り、印象に残ったことを一つひとつ書いていると、本当にキリがありません。そこで、すこし的を絞ってみます。

・整列や号令のない、自由で暖かい運動会でした
外国(フィンランドやオーストラリア)の学校の本を読んだとき、学期の始まりや終わり、または何かの会をするために大勢の子どもが集まる機会に、日本のように整列や号令がなくて、思い思いの場所に、それぞれが気に入った姿勢で自由に集合している場面が多くて、とてもいいなあと感じていました。

きのくにの運動会は最初から最後までそういう会でした。例えば、準備体操ではお手本?をする子どもたちは前に出てきてみんなと向かい合わせになりましたが、その子どもたち以外は子どもも大人も場所は全く自由です。もちろんおおげさな号令や指示も全くなくて、本部で司会をしていた子ども(小学校中〜高学年?)が「隣りの人に当たらないように開いてください」と言っていたくらいでした。そして準備体操は崖の上のポニョのあの踊り。最後に司会の子が「この踊りにはアキレス腱を伸ばす動きが入ってないので、各自しておいてください」というふうに言ったのもとてもユーモラスでした。

競技が始まってからもそれは同じで、入場門やフィールドで出番待ちの時には並んだりするのですが、みんながゾロゾロと集まってきて、何となくその競技に合った列ができていました。それぞれの競技には担当の保護者がお手伝いに入るので、例えばリレーだったらだいたい体格順にするという感じでしたが、明らかに小さな子(2年生くらい)と大きな子(5年生くらい)が一緒に走ったりしていて、そのおおらかさもきのくにらしかったです。

私の感覚的な好みとして、繰り返し練習して一糸乱れぬような整列や行進よりも、きのくにのように、好きなところに、自由に立つという方が好きです(といっても保育園の普通形式の運動会でも十分感動しましたが)。さらに思うのは、きのくに方式ではいつでもどこでも、そして将来にわたって応用が効くだろうということです。

練習を重ねた整列や行進は確かにその時はきれいです。子どもたちが考えて、または楽しんでそういう演出をしているのならば、良いと思います。でも、指導者がいてその言うとおりにしているだけだったらどうでしょう?指導する人がいなくなれば、たちまち混沌としてしまうのではないでしょうか。一部の学校の子どもたちは決められた儀式などでは整然としていますが、指示がなければすぐに乱雑になってしまったという話も聞きます。

その点、自分の好きな場所を選び、他の人と近すぎたならばうまく距離を取る。そして自分も他人も快適な居場所を見つける。そして静かにする時と歓声をあげる時を判断する。これは「言われた通りする」ことよりもずっと知的能力、コミュニケーション能力、そして相手へのおもいやりが要求される高度な行動だと思います

そういうやり方でトラブルがあったと思いますか?普段からこういうやり方に慣れているのでしょう。私が見聞きした範囲ではもめごとやけんか、大声をあげるなどの光景は一切みられませんでした。

・誰でも、どの種目でも出場できます♪
プログラムの内容はむしろシンプルです。
1.準備体操
2.たまいれ
3.走る競技(短距離走 中距離走 長距離走 超長距離走)
4.丸太切り競争
5.デカパンで山こえ谷こえのんでくってゴール

おひるごはんの後半にダンス3チーム(小低学年、小高学年、中学高専)

6.つなひき
7.リレー
8.炭坑節
9.もちまき

〜〜
でも、誰でも、どの競技でも出ることができるので、我が家は子ども(準備体操、たまいれ、デカパン、つなひき、リレー、炭坑節)、夫(たまいれ、丸太切り競争、つなひき、もちまき)、私(準備体操、たまいれ、デカパン、炭坑節)と、いっぱい参加して大満足!子どもはあとから「丸太切り競争にも出たかった」と言っていたくらいで、とても楽しめたようでした。競技数は少なめですが、とってもお得?でした。

プログラムをもらった時には、「穏やかな競技が多いから、高校生の男の子とかもの足りないんじゃないかな?」とちょっと思いましたが、超長距離走(アップダウンのある山道を走る)もあり、リレーでは同年代の子と競ったりしてけっこう楽しそうでした。そして、たまいれやデカパンなど、小さな子も参加できる競技でも一緒になって盛り上げてくれているのが、いかにもきのくにらしい雰囲気でした。

堀さんのお話、各競技の楽しさなど、書きたいことは本当にいっぱいあるのですが、時間の都合上、「さすがきのくにっ子」と感じたエピソードを2つ紹介します。

<1>うちの子はバトンを持った正式のリレーを経験していません(本人はあとで、保育園で遊びでやったと言っていましたが)。本人が出たいというので夫がフィールドに連れて行ったのですが、バトンの受け渡しなど競技のルールがわかっているだろうかと心配で立ち去り難く、しばらく横についていました。すると、小学2年生くらいの女の子が「大丈夫ですよ。私がみていますから」と言ってくれたそうです。初めて会った小さな女の子にとても優しい言葉だと思いませんか。夫は「さすが、しっかりしているねえ」と感心していました。

<2>最後のもちつきは各学校の最高学年、つまり小6、中3、高3がものすごい数のもち(たぶん手作り?)をまくのですが、途中から司会の子がゆっくりとするように呼びかけ始めました。「何かなあ?」と思っていると、高3の男の子が一人、受験の日と重なってしまっていて、受験を終えてもちまきには間に合うように帰ってくることになっていたようです。それが少し時間が遅れていたのでしょう。中3、高3はゆっくりペースで投げていました。そしてしばらくすると、歓声とともに彼が帰ってきて「よっしゃぁ」という感じで、もう一度盛り上がりました。少人数の学校とはいえ、こうやってみんなで一人を待って、到着したらみんなで喜んで・・。とても温かいものを感じました。

「うちの子もこんなふうに育ってほしい」と思う子どもがたくさんいました。大らかで和やか、もちろん競技は一生懸命。素敵なきのくにの運動会でした。来年から保護者として参加できるといいな!と改めて思いました。



2008-10-24 00:05  nice!(2)  コメント(8)  トラックバック(1) 

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コメント 8

ayu15

ふとおもったのは自由だと考えて決めません?命令?で整列号令だと考えなくておおし、責任は命令する人という意識でてきません?

ピリピリするより、おおらかなのっていいですよね~。
by ayu15 (2008-10-24 08:59) 

hm

いいですねえ。
 創意工夫に溢れていそうな雰囲気。
 
 単に号令・整列等があるなしの問題以上に、文化とか風土みたいなものが、個人個人の創造力に働きかけているというのでしょうか。
 よい校風だと思います。
by hm (2008-10-24 12:50) 

mai

>ayu15さん
コメントありがとうございます。私も、この学校の子は考える習慣ができているのだなあ〜と感じました。もしかしたら子どもたちのなかでは「考える」を通り越して、自然体でふるまっているだけなのかもしれません。

>hmさん
nice&コメント、どうもありがとうございます。入学を考えている学校ということもあって、後から読み返してみると大甘でほめすぎかなあと恥ずかしくなりました。でも、とっても良い雰囲気だったのは確かです。もちろん、「きのくに式でないといけない」とは思っていません。保育園の普通の形式の運動会でも感動でウルウルした私です。

おっしゃるように号令、整列はひとつの現れであって、その底にある文化が大事ですね。一人ひとりの意識の持ち方によって文化は作られていくのでしょう。
by mai (2008-10-24 16:57) 

tamara

良かったですね〜。楽しい体験をされて。
<繰り返し練習した一糸乱れぬような整列や行進>は私も本当に苦手です。いやな思い出が多いです。
子ども達に大切なのは、整列の仕方ではなく人の話に耳を傾ける気持ちでしょう。一糸乱れぬ演技よりも参加者全員が楽しむことのできるものであることのほうがずっと心をふくらませてくれますね。maiさんの記事を読んで、やっぱり「きのくに子どもの村学園」てすごいなあと改めて思いました。

by tamara (2008-10-25 00:00) 

mai

>tamaraさん
お久しぶりです。カゼはすっきりしましたか?
優しいコメント、どうもありがとうございます。うちの子の保育園の運動会はけっこう練習を重ねる方でしたが、まだ自分でできることがそれほど多くない時期であり、子ども自身練習も本番も楽しんでやっていたので、見ていて違和感が少なかったです。もし中学生以上で「させられ感」の強い運動会だったら、疑問を感じたことだと思います。

やはりこころの問題ですね。きのくにの運動会は大人もじっとしておられず、運動苦手な私でさえドンドン出てしまいました。夫も「こんな運動会は初めて!」とびっくり。全員が楽しめるという点ではとても工夫されていると思います。そしてたぶん普段の教育もこういう雰囲気なのでしょうね。こんな学校があって嬉しいです。
by mai (2008-10-25 21:41) 

薩摩長州

自立した個人として、力強い”生きる力”を養うということはこうしたところから生まれるのかな、って素人ながら感じました。世の中マニュアルがもてはやされ、全てを規格化してゆこうという流れは妥当ではあるのかもしれませんが、予想外、想定外がことが発生したとき”生き力”が試されるのだとおもいます。

さて、当ブログもおかげさまで一周年をむかえることができました。
ときに更新を放棄しつつも、なんとか2日に一回の更新をめざしてぼちぼちとではありますが続けることができました。あらためて、自己表現のきっかけをくださったまいさまに心より感謝いたします。たいへん充実したブログライフを楽しませていただいております。本当にありがとうございました。(^o^) 2年目もマイペースでぼちぼちといこうと思っております。これからもよろしくお願いします。m(_ _)m
by 薩摩長州 (2008-10-25 22:33) 

mai

>薩摩長州さま
ご訪問&コメント、どうもありがとうございます。よくブログを拝見しています。開設をお勧めした?私よりもずっと充実した内容で素晴らしいです。経済学の素養のない私には難しい記事も多いのですが、見事なバラの数々とかわいいネコさんに癒されています。

私もブログは自己表現ですねー。2週間も書かないと何か忘れ物をした気分になって落ち着きません。2日に一回の更新・・・うらやましいです。夢みたいです。

学校のことについては、親として子どもを見守り自分自身も楽しんで学んでいくつもりで、肩の力を抜きながらやっていきたいです。これからしばらくブログも学校の話題が多くなりそうですが、時にはいらしてくださいね。
by mai (2008-10-27 16:40) 

淑子

セクロスしたい女たちはココ!(*´ェ`*) http://fgn.asia/
by 淑子 (2012-06-24 12:49) 

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