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自衛隊のアフガン派遣について中村哲医師の意見 [ペシャワール会]

京都のタウンミーティング訴訟について続き(一番言いたいこと)を書くつもりでしたが、なかなか時間が取れずにいるうちに、天木直人さんのブログでびっくりする記事を見つけてしまいました。下に転載します。

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規定路線になりつつある自衛隊のアフガン支援とその矛盾

  臨時国会が異例の8月に始まる理由は、来年1月に期限が切れる新テロ特措法に変わるあたらな支援法を、想定される野党の反対を押し切って自然成立させるためである。

  新しい支援法には、イラクやインド洋における対米支援策にとどまらず、あらたな自衛隊の活動が追加される。

  そして、その対象が、どうやらアフガンにおけるテロとの戦いに協力する事になりそうだ。

  そのアフガン支援策に関し、12日の東京新聞と産経新聞が、政府案なるものを報じていた。

  東京新聞はアフガン本土での陸自派遣による人的支援拡大が政府の視野に入っているという。

  しかしこれは危険を伴う。

  サマワと同様に安全なところを探して人道援助を繰り返すという愚を繰り返すのか。

  バクダッドと同様に空自が物資輸送を行なうのか。

  いずれにしても、それはまやかしであり憲法9条違反である事を、もはや国民は知っている。

  それよりもなによりも、今のアフガンはイラク以上に危険だ。どのような形にせよ、派遣される自衛隊員に犠牲者がでる可能性は、今までより高くなる。

  いくら米国に頼まれたからといって、あるいは対米従属の外務省に頼まれたからといって、福田首相にその政治決断できるだろうか。

  その一方で産経新聞は、インド洋にある米軍基地ディエゴガルシアと、オマーン、ジブチにある米国基地の三角地帯にP3C哨戒機を飛ばし、警戒監視飛行を行なう案が有力案として残ったと報じている。
  これだと不審船を発見した場合でも米国に通報するだけでよく、あとは多国籍軍が対処してくれるので安全だというのだ。

  考え方があまりにもお粗末ではないか。あまりにも矛盾しているではないか。

  それにしても、なぜ今アフガン協力なのか。

  この時期に自衛隊のアフガン支援を急ぐ政府や外務省、防衛省の対応は、あらゆる意味で無理がある。

  最終的にどのような協力に落ち着くのか、我々はこの眼でしっかり見届けなければならない。

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この件に関しては、一時情報が流れましたが続報がなかったので、実現はしないのではないかと楽観視していました。1983年からパキスタンで医療活動、用水路堀りなど民生支援を続けているペシャワール会の中村哲医師は、最新の会報で「自衛隊がアフガンに派遣されるようなことがあれば、邦人ワーカーの生命を守るために活動を一時停止する」と書いておられます。

中村医師は本来、どのような政治的な立場にも立たず、純粋に民間団体としてアフガニスタン支援を続けてきた方です。私の知る限り、83年以来、全活動を停止したことは一度もなかったと思います。そのペシャワール会が一時引き上げざるを得ないというのはたいへんな事態です。会報よりその部分を引用させていただきます。

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日本国内で議論が沸騰した「インド洋での後方支援=給油活動」は幸いほとんど現地で知られておらず、「最大の民生支援国」であることが政府・反政府を問わず、好感を持って迎えられていた。在日アフガン大使も、日本が(アフガンの国土に)兵力を送らぬことを望むと述べている。このことが私たちにとって大きな安全になっていたのは疑いがない。

しかし、6月になって「日本軍(Japanese Troop)派遣検討」の報が伝えられるや、身辺に危機を感じるようになった。余りに現状を知らぬ軽率な政治的判断だったと言わざるを得ない。日本が兵力を派遣すれば、わがPMS(ペシャワール会医療サービス)は邦人ワーカーの生命を守るために、活動を一時停止する。


これまで少なくともアフガン東部で親日感情をつないできた糸が切れると、自衛隊はもちろん、邦人が攻撃にさらされよう。私たちはアフガン人が「故郷を荒らす日本兵」を攻撃するのを止めることができない。悲しむべきことだが、これが冷厳な現実である。この末期の段階で軍事行動に協力する愚かさの帰結を、身にしみて知ることになろう。

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25年にわたってアフガニスタン、パキスタンにとどまり、現地の情報に最も精通していると思われる日本人の言葉をどうして政府は聞けないのでしょう。中村医師はテロ特措法延長の時にも民主党の小沢代表に面会したり、各地を講演したり、現地の様子を知らせることに尽力をされています。

この夏も各地で講演をされる予定です。彼の声に耳を傾けないとすれば、政府は日本人の評価を国際的に下げる愚かな政策を取ることになるのではないのでしょうか。ペシャワール会のアドレスです。http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/。ぜひご一読を。


2008-07-12 18:45  nice!(1)  コメント(6)  トラックバック(1) 

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コメント 6

志村建世

中近東でもアフリカでも、日本の最大の長所は「侵略者としての汚れた歴史を持っていない」ことでした。世界史的な大事な役割を果たせる資格を、自ら放棄するとは、考えられないほど愚かな選択です。
by 志村建世 (2008-07-12 22:32) 

shira

 自衛隊派遣を支援する人たちは得てして護憲派を「現実を知らぬおめでたい理想主義者」と揶揄しますが、アフガンやイラクの現実を学ぶこともせず、武力の有効性を脳天気に信じているという点では、彼らこそ相当におめでたい理想主義者だという気がします。
by shira (2008-07-13 13:20) 

mai

>志村建世さん
ありがとうございます。本当にそうです。先日イラク人医師の話を聞きましたが、周辺地域を侵略した歴史がなく、世界で唯一の被爆国であることで、イラクでも同情も含めた親日意識が高かったそうですが、自衛隊派遣でずいぶん信頼が薄れたそうです。でも、「米国との関係上、仕方ない面もある」と考えてくれている人もまだいるそうで、これからの動き次第でかろうじて挽回ができそうです。アフガンでも同様だと思います。世界平和構築のために貢献できる立場にあるのですから、その方向で何とか努力してほしいものです。
by mai (2008-07-13 19:44) 

mai

>shiraさん
ご訪問&nice&コメント、どうもありがとうございます。志村さんのご意見に続き、またも同感です。ネット界では自衛隊海外派兵に疑問を示す意見に対して「お花畑」とか揶揄?されているようですが、現地の人の言葉を重視せず、きちんとした(御用学者でない)学者の意見を聞かない姿勢の方こそ、地に足がついていないですよね。
by mai (2008-07-13 23:57) 

ayu15

うちも以前かいたんですけど、
中村さんの支援はいいなあと思いました。
与えつづけるのでなく、地域の人達が自分達でできるような(その土地の伝統いかした)もので、CO2削減、砂漠化抑止にも貢献してるし。

by ayu15 (2008-07-19 09:43) 

mai

>ayu15さん
お返事遅くなって失礼しました。その通りですね。「自分たちがいなくても、現地の人たちで用水路や井戸を維持できるようにしている」という意味の文章も読んだことがあります。相手の文化を大事にしているところも素晴らしいです。
by mai (2008-07-24 15:46) 

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