SSブログ

毎日新聞「記者の目」に君が代不起立問題 [学校と子ども]

本日の毎日新聞(大阪編集局)の「記者の目」欄に根津さんの君が代不起立問題が取り上げられています。私はこの記事にほぼ全面的に賛同します。

********************************


記者の目:君が代 不起立で処分される教師=湯谷茂樹

 卒業式で「君が代」が斉唱される約1分間の不起立を理由に今春、一人の東京都立校教師が学校から追われようとしている。卒業・入学式で国旗掲揚・国歌斉唱を実施するようにとの指導が強まり、反対してきた教師が次々に起立・斉唱に転ずるなか、この教師は、自らの良心に従って不起立を貫いてきた。その姿は、周囲をうかがい迎合するのではなく、勇気を持って行動することの大切さを教えているようにも見える。この静かな不服従に東京都教育委員会が免職や停職処分で臨むことは、はたして適切な教育行政なのだろうか。

 教師の名は根津公子さん(57)。都内の公立中で家庭科を教え、平和教育にも取り組んできた。昨春から都立南大沢学園養護学校で勤務している。

 根津さんは不起立の理由を「『自分の頭で考えて、おかしいと思ったら、やらない。正しいと思うことだったら、一人でも行動すべきだ』と生徒たちに語ってきた自分の教育に反してしまうから」と説明する。

 根津さんの不起立に対する都教委の処分は、05年3月の卒業式で減給10分の1.6カ月▽同年4月の入学式で停職1カ月▽06年3月の卒業式で停職3カ月▽07年3月の卒業式で停職6カ月--と加重されてきた。停職6カ月より重い処分は免職しかないため、24日の卒業式でも起立しなかった根津さんへの免職処分が懸念されているのだ。

 卒業・入学式での日の丸掲揚や君が代斉唱は、99年の「国旗・国歌法」成立以降、文部科学省の強い指導もあって、全国的に実施されるようになった。それでも反対はあり、文科省によると06年度に不起立やピアノ伴奏の拒否など国旗・国歌を巡り処分された教職員は全国で98人にのぼる。しかし、教育現場からの排除を意味する停職処分を出しているのは東京都だけだ。国旗・国歌法成立時の官房長官だった野中広務・元自民党幹事長も「東京の処分は間違い。私は答弁で、人の内心まで入ってはいけないと言った」と批判する。

 不起立は、根津さん個人の思いに基づく行動だ。

 日本教職員組合(日教組)は94年まで「君が代は、歴史的役割、歌詞が国民主権の憲法に違反しているので反対。日の丸は、国の標識としてあることは事実だが、学習指導要領によって学校に強制することには反対」との運動方針を掲げてきた。しかし、村山政権発足を機に、95年に文部省(当時)との関係を協調路線に転換、反対方針をおろしている。根津さんの加盟する日教組傘下の東京教組は、反対方針は変えていないものの、反対行動の提起はしておらず、処分に伴う経済的損失までは「支援できない」という姿勢だ。

 こうした中、都教委は03年10月23日付で「教職員は、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」ことや対面式の会場を認めないなど、卒業・入学式の国旗掲揚や国歌斉唱方法などを細かく定め、その実施を命じる校長の職務命令に従わない場合、服務上の責任に問われることを明記した「10・23通達」を出した。対象は都立校だが、都内の市・区教委などへの影響は少なくない。それまで反対していた教員も起立・斉唱することが多くなった。不起立を貫く教員は目立ち、さらに締め付けは強まった。不服従のシンボル的存在になった根津さんは今年2月、日の丸・君が代強制に反対する意味の文言が書かれたトレーナー着用を巡り、脱ぐようにとの職務命令に違反したとして都教委から事情聴取された。命令を出した養護学校長に、他の教師が着ていたら同様の命令を出すのかと聞くと、返事は「答えられない」だった。

 君が代不起立は、授業をしないとか、生徒を傷つける言動を繰り返すといった事案とは異なる。処分を巡る司法判断は分かれるが、「10・23通達」を違憲とした06年9月の東京地裁判決が「皇国思想や軍国主義の精神的支柱として用いられ、現在も宗教的、政治的に価値中立的なものと認められるまでには至っていない」と君が代について指摘したように重い歴史のある問題だ。

 大阪府内のある学校の卒業式で、「強制反対」と声を上げた教師が威力業務妨害で告発される「事件」を取材したことがある。立件されることはなかったものの、異様な力を感じた。

 私たちは、多くの命が奪われたアジア・太平洋戦争から、「お国」も間違うことを学んだ。国旗・国歌はそれぞれ歴史を持つ「お国」の象徴だ。国民それぞれに思いがあるのは自然だ。

 「良心に基づく不服従」への処分は、東京都だけの問題ではない。日本社会のありようが問われている。
(大阪編集局)


2008-03-27 20:58  nice!(0)  コメント(8)  トラックバック(1) 

nice! 0

コメント 8

ayu15

いっそ君が代国歌を現憲法とセットにするとか(笑い)
前文読んでから君が代斉唱して、国旗にむかい戦前を反省するとか(笑い)


by ayu15 (2008-03-28 00:00) 

Ladybird

 歌わない自由,起立しない自由は誰にもあります.都教委ほか権力をもつ人たちの発想は,ここまで狂ってしまったんですね.
by Ladybird (2008-03-28 03:02) 

志村建世

国旗、国歌は国の目印であれば充分です。「神聖ニシテ犯スベカラズ」に祭り上げたら偶像崇拝と同じです。日本人の国民性に合いません。集団催眠術から早く醒まさねば。
by 志村建世 (2008-03-28 17:21) 

mai

>ayu15さん
いいですね〜。そもそも公務員には憲法遵守義務があり、校長や先生が読んでも何も問題ない・・というか、とても自然ですね。これから卒業していく若者たちが先生、来賓、保護者と一緒に憲法を朗読する。国としてそれがずっと真っ当な気がします。

>Ladybirdさん
ありがとうございます。ここまで来てしまっているのです。ビデオプレスの「君が代不起立」というDVDがあります。都教委ほかの方々の問答無用な態度にぞっとするような怖さを感じました。機会がありましたら、ごらんください。

>志村建世さん
同感です。国の目印としてでしたら許容できますが、個人の上に位置した時から、おっしゃるように偶像崇拝と同じだと思います。個々の人間(もちろん生徒を含む)の統合の象徴のはずの国旗が、なぜ生徒たちより上の壇上に陣取らなければならないか・・・非常に不思議です。
by mai (2008-03-28 22:58) 

東西南北

 国旗・国歌というものは「国」の旗であり、「国」の歌なんです。「国」というのは、国土、国民、国家を要素としています。つまり、国旗・国歌は国土、国民を愛することのみならず、国家を愛することを含んでいるんです。国土、国民を愛することを教育することは国民主権から当然のことです。しかし、国家を愛するというのはどういうことでしょうか?ここが最大の問題点なのです。

 はっきりいえば、例えば、「日の丸君が代」ではない日本国憲法を象徴するような新しい国歌・国旗が存在するとしましょう。このような国歌・国旗であっても、やはり、国家を象徴するという事実に変化はありません。国家を愛するかどうかは国民の判断に待つをいうのが国民主権ですから、いかなる国旗・国歌であれ強制することは許されません。ましてや、「日の丸・君が代」の持つ軍国主義の歴史を認識すれば強制は論外である、と言えます。

 繰り返しますが、日本国憲法を象徴する国旗・国歌であっても、国家主義を排除し、国民主権を実現することが憲法である以上、強制することは不可能です。

 
by 東西南北 (2008-03-29 01:35) 

mai

>東西南北さん
>国家を愛するかどうかは国民の判断に待つをいうのが国民主権ですから。・・
深く共感します☆いかなる国旗・国歌であれ、個々の国民よりも価値があるはずはないです。
by mai (2008-03-30 21:26) 

ray ban on sale

Hello, you used to write magnificent, but the last several posts have been kinda boring… I miss your tremendous writings. Past several posts are just a little out of track! come on!”Partake of some of life’s sweet pleasures. And yes, get comfortable with yourself.” by Oprah Winfrey.
by ray ban on sale (2013-05-16 03:10) 

ray ban sale

I’ve had this censorship experience myself, and recently, as in within the last two days. I’ve posted a disagreement with PJ and today discovered that I can only see the comment when signed in. The comments aren’t viewable to the general public.
by ray ban sale (2013-05-16 03:10) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。