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学習指導要領についてのパブコメ提出しました [外国の素敵な教育]

今週後半は何かと多忙で時間が取れないかもしれないので、さきほど学習指導要領についてのパブコメを提出しました。勢いで書いたので読み返すと拙いですし、なぜか学習指導要領の細目についての意見は入っていません(^_^;)。あまり参考にならないと思いますが、下に載せます。「こんなのよりも、もっと上手に書ける」と思っていただいて、ぜひぜひ一人でも多くの方に提出していただきたいです。その一心で恥ずかしさも省みず・・・。

*****************************************

・意見:いつも国民のために活躍いただきありがとうございます。私は就学前の幼児を持つ母親ですが、改正された教育基本法および教育3法の内容には、保護者として大きな疑問を感じています。それは、改正された部分について言えば、子どもの持つ可能性を信じてそれを伸ばしていこうというよりも、規範や道徳という人為的な枠を定めて、そのなかに子どもを入れようという面が強いように感じるからです。

 私は教育基本法改正以来、日本の自由教育(「きのくに子どもの村学園」など)や諸外国の教育について、勉強を始めました。いまの日本が向かおうとしている教育の方向が、私には「何か違う」と思えてならないからです。

 いま、NHK出版の未来への提言「「学力世界一」がもたらすもの」オッリペッカ・ヘイノネン+佐藤学氏という本を読んで、フィンランドの教育について学んでいます。そのなかで、ヘイノネン氏はこう語っています。

「多くの国で中央政府の統制が強い理由もわからなくはありません。今は誰もが人材と教育制度こそが核心だと見ているからです。それを機能させるためには、システムをしっかりコントロールしなければなりません。しかし、圧力がそこに加わると、うまく機能しないのです。
 なぜなら教育には自由が欠かせないからです。学ぶということは大変繊細で、個人的で、また非常に複雑な事柄です。わたしたちは、それぞれの現場、つまり生徒、教師そして校長に任せるべきであり、阻害してはならないのです。というのも、最も重要なのはモチベーションだからです。教師の意欲、生徒の学習意欲、それこそが核心なのです。
 厳しく管理すれば、モチベーションが失われ、結局何もかもだめになってしまうのです。
 そうすると数値やテストを中心に据えた状況ができあがるわけですが、数学のように正しい解答を出せば終わりということではないのです。
 問題は、そこに到達したときに何があるか、何が見えてくるかということです。最終的な答えではなく、最終的な答えを導き出すまでの家庭こそが大切なのです」。

 私は、日本の教育もヘイノネン氏が語るようにあってほしいと思います。フィンランドのほかに、オーストラリア、スペインなどの教育事情について本を読みましたが、いずれも日本が今後、向かおうとしている方向よりもはるかに自由で生き生きとした現場のように見えました。

 フィンランドではヘイノネン氏が1994年に29歳で教育大臣に就任し、本格的な教育改革に着手しました。改革の最大のポイントは、教育現場に大きな裁量権をもたせ、子どもたちに教える内容や教え方を、現場の教師が自由に決められるようにしたことです。クラスの人数は原則として20人前後。国が定める指導要領はありますが、改革前に比べて教育の目標や授業内容についての項目が大幅に減ったそうです。教科書の検定もなく、教師たちはインターネットも利用して自ら教材を準備し、学校ごとに独自のカリキュラムをつくっています。

 委員の方々にぜひご一読いただきたい本として「青い光が見えたから(16歳のフィンランド留学記)」(講談社)を挙げます。これはその題名の通り、「ムーミンの国に憧れた」16歳の少女が単身でフィンランドに高校留学し、4年間の努力の末に卒業するまでを本人が描いたものです。この本のなかで衝撃を受けたのは、日本での中学時代、著者は自分を殺して良い子を演じ、周りに合わせることによってやっと毎日を過ごしていて、身体のだるさ、抜毛癖など心身症の症状を示します。「窒息しそうな毎日」と表現しています。それが、言葉も通じず、単身留学でストレスが大きいはずのフィンランドの高校で、反対に著者は見る見る元気になって、本来の自分を取り戻します。その最大の原因は学校が自由であり「在るがままの自分」でいることができたからです。

 私は日本人の大人として、子どもたちが自国の教育で苦しみ、他国に留学して元気になったという事実を、とても残念で恥ずかしく思います。これから学校で学ぶ子どもたちには、どうか幸せで明るい毎日を送ってほしいと切に望みます。審議のまとめの各論からは離れた意見になってしまいましたが、そういう目で審議内容をもう一度見直していただけませんでしょうか?規範意識の強調が子どもを型にはめることになっていないでしょうか?愛国心教育が自由な批判精神の確立を妨げるものになっていないでしょうか?ぜひご検討をお願いします。


2007-12-04 16:43  nice!(1)  コメント(10)  トラックバック(4) 

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tamara

まいさん、こんばんは。もう書いたのですね。
文科省へはもったいない内容のパブリックコメントです。
私も早く書かなければと思いつつ、先延ばしになっています。
現行学習指導要領がそもそも問題が多いため、改訂版の問題と現行版の問題がごちゃまぜで非常にむずかしいです。
by tamara (2007-12-04 21:07) 

mai

>tamaraさん
ありがとうございます。何だか的はずれだなあ〜と思いつつ、時間的制約もあり、「えいっ」と送信してしまいました。tamaraさんは私よりずっと知識がある分、かえって難しいでしょうね。お気づきかもしれませんが、前の記事で改訂版についてとてもよくまとめてくださっているサイトを紹介しました(Rolling Beanさんのブログです)。もしご参考になれば。11日までには教育振興基本計画の分も書かなくてはならず、頭が痛いです(たぶん前日くらいになりそうです)。
by mai (2007-12-04 21:53) 

女衒の辰

日本の教育現場に自由な裁量権が無いのを先日「TM訴訟市民集会」に参加して知ることと成りました。

それは、ある児童の親御さんの発言でした。ある日学校に日の丸の半旗が掲げられていたというのです。意味が分からず学校長に訊いたそうです。

学校長は「市の教育委員会の指示です。」と答えました。市の教育委員会に訊くと「府の教育委員会の指示です。」と答えます。府の教育委員会に訊くと「文部省(文部科学省か忘れました)からのFAXの指示を下ろした」との答えです。

即ち、お上のFAX一枚で全てが何の疑問も持つ事無く事が進められていってしまうのです。

そもそもの半旗の理由は、鈴木善幸氏の政府と自民党の合同葬が行われた為というではありませんか。

今の教育は考えず指示に従う子供達に育てることないでしょうか。人と違うことを良しとせず、個性を認めず、いじめの対象にしてしまうなど許し難いことです。

教育問題に関心があまり無かった私ですが、このブログに接したことで勉強する事が出来ました。ありがとうございます。
by 女衒の辰 (2007-12-06 00:22) 

東西南北

 女衒の辰さんとまったく同じ認識です。東西は自公政権、時の政権(民主党、共産党政権でも同じ)が学校教育のみならず、社会教育、家庭教育について介入してはならないという認識です。

 今回の学習指導要領の改訂も「大綱的基準」として「法的拘束力のない手引き」としてなら問題ありませんし、何を書いてもよいと考えますが、今現在の学習指導要領は「法的拘束力ある」。各学校の教育内容、方法には「法的拘束力は及ばない」という憲法判例が確立しております。

 しかし、現実、具体的には学校教科書の内容は「法的拘束力のある」学習指導要領に規定され、学校教科書の内容が「受験テスト」に出題されるわけです。こうして事実上は「法的拘束力のある」学習指導要領の基準で教科書が検定・作成されて、受験体制を手段に文部科学省・自公政権式の教育内容と方法が現場の学校教育を規定しているわけです。

 こうした現状から言えば、根本的にまいさんが記事で挙げているようなフィンランド式の教育体制こそ必要だと東西も完全連帯です。

 どんな学習指導要領であれ、政府・文部科学省が「法的拘束力」=学校教科書の内容を事実上、規定する「学習指導要領」自体は不要であり、時間と予算の無駄だと思います。

 今必要な教育は、まいさんのいう現場の裁量権を保障する民主主義教育です。

 

 
by 東西南北 (2007-12-06 01:31) 

mai

>女衒の辰さん
ありがとうございます。もしかして、2日の会でのお話でしょうか。とても行きたかったのですが、体力的な問題とちょっとアクシデントも起こって行けませんでした。
ため息の出る話ですね。先生方が考えようとする姿勢を阻むことは、子どもたちに「考えるな」と言っているのと同じことだと思います。心のノートなどの教材も一連のものでしょう。

ところで、ようやく登録して女衒の辰さんの記事にコメントさせていただいたつもりですが、初めてだったのでもしかしたらうまく届いていないかもしれません。また挑戦します。

>東西南北さん
ありがとうございます。法的拘束力については詳細は知らなかったので勉強になります。各学校の教育内容、方法には「法的拘束力は及ばない」。だから例外的にですが、ごく少数の自由な教育をしている学校が存在できるわけですね。

でも大勢としてはおっしゃるように、現在の受験体制がある以上、大きな逸脱はしにくいですね。フィンランドの教育についての本を読んでいたら、日本の方向とは正反対で本当に情けなくて悲しいです。
by mai (2007-12-06 21:19) 

女衒の辰

maiさんへ
今日の朝日新聞夕刊に「フィンランドっ子はなぜ賢い」と言う記事が掲載されていました。早くからフィンランドの教育に注目されていたmaiさんの先見性に感服いたしました。
by 女衒の辰 (2007-12-06 22:33) 

ayu15

先日教育シンポジュウムに行きました。内容が多くて、難しくて消化不良中です(汗)ブログに載せれる程度まで整理できるといいんですけど。
by ayu15 (2007-12-07 23:09) 

女衒の辰

maiさんへ
コメントいただいたのを公開するのに承認が必要なことを今日始めてしりました。折角コメントいただきながら放置していたことお許し下さい。

本日(12/7)公開させていただきました。こらからもよろしくお願いします。
by 女衒の辰 (2007-12-09 00:02) 

mai

>女衒の辰さん
コメントありがとうございます。種明かしをすると(笑)(新聞記事にも書いてあったりで、ご存知だと思いますが)教育に関心のあるリベラル派市民の間ではフィンランドはいま、とても注目されているのです。2000年から始まり、3年ごとに行われている世界の15歳の子どもを対象にした「学習到達度調査」(PISA:Programme for International Student Assessment)で各分野にわたって1位〜2位の好成績を収めてから、急激に注目度がアップしたようです。

ただ、私は学力にとどまらず、子どもたちが伸び伸びと個性を発揮して学習している点についてとても評価しており、本当にうらやましいです。PISAの成績だけから言えば、日本だって多少下がったとは言え、それほど悪くないです(新聞では「学力低下」と叫んでいますが、1位グループにいる分野も多く、弱点を補強すれば良いのではないでしょうか。ゆとり教育見直しに合わせて、政策に対する一種の「迎合」の面もあると思います)。

フィンランドでは、子どもが自分らしさを押し殺さずに学校で生活できること、家庭の経済状況にかかわらず平等に教育が受けられること(教育費も昼食費も無料です)など、リベラルで優しい政策が取られている点がとても良いと思います。

コメントについては、私も不慣れで遅くなりました。また、コメントさせてくださいね。
by mai (2007-12-10 11:50) 

mai

>ayu15さん
期待して待っています!ぜひ教えてくださいね。
by mai (2007-12-10 11:51) 

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