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弁護士有志が教育基本法案について、民主党に意見・提言を送りました! [教育基本法]

先週からなぜか溶連菌感染症にかかってしまい、週明けから治療中です。大人なので高熱にはなりませんでしたが、のどが痛くて微熱が出ました。いまもなんとなく本調子ではないのですが、教育基本法で嬉しい動きがあったので、書いておきます。できるだけ簡潔にと思いますが、どうなることやら・・・。

教育基本法が「改正」されてしまったことには、いつまでたっても無念さが消えません。こんな法の下で子どもを育てていかなければならないかと思うと、胸のなかに重い石をかかえているように暗い気持ちになります。そんななか、13名の弁護士さんが、昨日、小沢代表,菅,鳩山氏ら執行部および参院民主党議員全員(凄すぎる!)に、民主党の「日本国教育基本法案」に対する意見と提言書を郵送で送付してくださいました。

そもそも、昨年12月15日にいまの教育基本法が強行採決によって成立した直後から、民主党は「政権を取ったら、教育基本法を改正する」と言っていました。それは良いのですが、肝心の民主党案には(私たちからみて)かなり大きな問題点があり、国会審議中から「なんだ、これじゃあ与党案と大差ないじゃないか。むしろ、愛国心のくだりなど、与党案よりさらに復古調だ」と、アンチ・リベラルという評価がなされ、まともに議論さえされなかったという経緯があります。

ところが、民主党案を読み込んでみると現行法にはない良いところも多々あるのです。
そのあたり、中心になって意見と提言をまとめた村上弁護士が的確に要約してくださっていますので、引用します。
*************************************
民主党案では、

・ 子どもを主体にして「学ぶ権利の保障」という学習権概念を盛り込む
(「教育権」という大人目線だけではありません)

・ 教育予算を確保することを国にしっかりと命令する

・ 幼児教育・高等教育の無償化をすすめる努力規定を新設する

など良い点があり,これらの点は,教育基本法「改正」反対論者の広田照幸教授(日大,教育社会学 http://blog.so-net.ne.jp/h-m-d/2007-07-19)も国会の参考人質疑で大いに評価しておられたのに・・という点でした。
*************************************
そこで、そういう点はしっかりと明記した上で、問題点を修正または削除することによって、旧法に近い、ひょっとすると旧法以上に良い、教育基本法ができるのではないかという柔軟な発想から、力作の意見・提言書をまとめてくださいました。

詳細については、村上弁護士のブログを、ぜひ読んでいただきたいですが、その前に現行の教育基本法の何が問題なのか?参考のために、法案が可決される前に私が制作したパンフレットから、何点か抜き出してみます。

・教育基本法は、教育に関して「国がしてはならないこと」と「国がしなくてはならないこと」を
定めた理念法で、「準憲法」とも呼ばれ、その格調高い文章から「世界一美しい法律」という評価も
あります。しかし、政府案では(注:現行法になってしまいました(涙))、国民が身につけるべき
徳目を規定した法律という側面が強く、国民から国に対する法律という性質が逆転して
国が国民のありかたを定める意味合いが強くなっています。


・第一条で教育の目的は「人格の完成」であるのに対して、政府案では「・・国家及び社会の形成者
として必要な資質を備えた・・」
という文が追加され、重点はむしろそちらに移行しています。
国家や社会の形成者として必要な人間、すなわち「国家や社会にとって有用な人間」を作ることを
教育の目的とするという変化が読み取れます。

・政府案第二条では「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する
とともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」とあります。
いわゆる愛国心論争のもととなった箇所ですが、前文にも使われている「伝統」という語が
気になります。
「伝統」という言葉で思い浮かべることは、人によってさまざまです。明治維新、江戸時代から、
ずっとさかのぼって神話の時代まで「伝統」です。反対に戦後の教育基本法も制定後60年を
越えて、ある意味で「伝統」です。そういうはっきりしない情緒的な言葉を使うことによって、
結果的に時の政府や行政機関が規定する、恣意的な「伝統志向」の教育が可能になります。

・政府案第二条では国民が身につけるべき徳目が5つの文章にまとめられ、そのすべてに
「・・・する態度を養うこと」と書かれています。内心はどうであれ、政府の定めたあるべき態度
を示すことが求められ、本来、自由で創造的であるべき教育が歪んだ姿になることが懸念されます。

・政府案第十七条では「教育振興基本計画」によって国や地方公共団体が定める内容を教えるように
義務化されます。
政治から教育への介入が正当化され、しかもその歯止めはありません。
本来、教育は独立して現場で一人ひとりの子どもに寄り添ってあるべきなのが上意下達のものになる
と考えられます。

村上弁護士へのメールに書いた私の心境の一端です。「教育基本法の問題は、もう何がなんでも何年かかっても再改正を求めるしかない・・・と私も思っています。一人ひとりの子どもたち、そして全体としてみると将来の日本人の精神を左右する大問題ですからね」。長期戦になるかもしれませんが、教育基本法再改正を目指して頑張っていきたいと思っています。

*旧教育基本法(47年法)、現行の教育基本法(06年法)、民主党案「日本国教育基本法案」の全文は教育基本法「改正」情報センタートップページの下の方にある「基本資料」から読むことができます。


2007-08-23 22:29  nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 

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コメント 3

hm

maiさん,紹介ありがとうございます。

 また,去年「改正」された教育基本法の問題点まとめ,大変分かりやすいです。

 maiさん言われるように,「再改正」までには長期戦でもいい,と私も思っています。(安倍「教育再生」にはすぐにでもストップをかけて欲しいですが。)
 まさに,昨年の「改正」が,現場や各方面からの強い異論,また,「改正」をめざす政府・与党が説明に困るような状態を振り切って,拙速になされたものであること自体が問題です。

 昨年の教育基本法「改正」反対!を訴えたのが単なる抵抗運動で終わるのでなく,明日の創造につなげたい,というのが私(たち)の思いです。
by hm (2007-08-24 10:40) 

つくい

村上さんの起草した意見書は、「良いところをほめ、悪いところを直す」というスタンスで、まさに民主党に対する教育の姿勢なんですよね。突き放したり、批判をするのではなく、良い方向に育てていこうというところに、他の弁護士たちも共感したのです。
maiさん、ご支持どうもありがとうございました。
by つくい (2007-08-25 08:16) 

mai

>hmさん
改めてhmさんほか弁護士さん方の努力にお礼を申し上げます。

>昨年の教育基本法「改正」反対!を訴えたのが単なる抵抗運動で終わるのでなく,明日の創造につなげたい,というのが私(たち)の思いです。
同感です。一過性の運動で終わらせてはいけないと思います。「禍を転じて福となす」ではありませんが、今回の選挙を期に少しずつでも前進したいですね。小泉・安倍政権で失われたものを一つずつ取り戻していきたいです。私たちと反対の動きも強いので、簡単にいくとは思いませんが、市民が力をつけていって気長に頑張りましょう!

>安倍「教育再生」にはすぐにでもストップをかけて欲しいですが
これまた同感です。こうしている間にも教育現場は、「改正」教育3法で動いていますからね。一刻も早く止まってほしいです!

>つくいさん
民主党に対する教育・・・そうですね!政治が真に国民の考えを映したものになるために、政党は市民からの声によって学び考え、伸びていってもらいたいものです。
微力な個人ですが、全面的に賛同、支持しますので、何かできることがあったら提案ください。
by mai (2007-08-25 20:28) 

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