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京都タウンミーティング訴訟、市教委推薦(無抽選)が過半数か? [教育基本法]

教育基本法に関する京都タウンミーディング訴訟について、ちょっと前のエントリーのコメント欄(http://blog.so-net.ne.jp/kyoikushiminnokai_in_shiga/archive/20070610)であゆさんとお話ししているうちに、これまでの情報を簡単にまとめておく必要を感じました。それは、教育という本当に大切な問題でありながら、子どもにまで事前に「やらせ発言」を依頼したり、3つの下一桁の数字の応募者を抽選せずに落選通知を送ったり、およそ教育とはほど遠い、いい加減でウソで固められた運営がなされていたからです。

おそらく、他のタウンミーティング会場でも同様のことはあっただろうと言われていますが(少なくとも「やらせ」は多数報道されています)、京都では、1. 排除された人が特定されている、2. 内閣府と京都市教委との間のメールという明らかな証拠が残っている、3.どの席の人が教委推薦だったか、それとも一般応募者だったかなど、詳細にわたる資料がある━そういうことから、訴訟に踏み切れたのだと思います。他の地区ではここまではっきりした証拠が見つからず、いまのところ訴訟は起こっていないとのこと。つまり、現時点では京都が唯一のタウンミーティング訴訟なのです。その意味でも、裁判の行方はたいへん注目されます。

あゆさんへのコメントにも書きましたが、原告側の調査によると、定員220人のところ134人が無抽選で当選となったということです。応募総数は277人。134人のなかにはいちおう形だけ応募した人と応募の手続きも取らず参加証が送られた人の両方がいると思われますので、何人が不当に落選させられたかという情報はまだ出ていないようですが、一般枠が86人しかなかったとすれば、かなりの人数が落とされているはずです。

初めに、原告側が情報公開請求で内閣府から入手したメールを公開した時の新聞記事を載せておきます。07年4月6日付け朝日新聞の記事です(コピーの端が切れていて日付については正確に確認できていませんが、同日の毎日新聞に同様の記事が載っていますので、おそらく4月6日だと思います)。

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「やらせ」TM 「当選」「一応当選に」「別枠で」 依頼メール 詳細判明

05年11月のタウンミーティング(TM)を巡り、京都市教委が内閣府に参加者の一部を意図的に当選させるよう求めるメールを送っていた問題で、市民団体「タウンミーディング訴訟を支える会」は5日、情報公開請求で内閣府から入手した市教委のメールを公開した。市教委は「メールは送ったが、詳細は記憶がない」とこれまで通りの説明をしている

市教委、内閣府へ送信

それによると、05年11月22日午後6時48分、内閣府担当者が市教委担当者に応募者リストを添付したメールを送信。市教委担当者は約2時間後、「リスト確認後のデータを送付します」と書いたメールに「当選」「一応当選に」などと書き加えられたリストを添付し、返信した。このほかメールで、イベント参加者41人を「別枠で確保いただきますようお願い致します」と依頼、事前に「やらせ質問」を依頼した関係者ら15人についても「必ず『当選』としていただきますようよろしくお願いいたします」と内閣府に求めていた。

「当選」などとされた78人全員にTMへの参加証が送られた。リストでの「当選」などの記載について内閣府は「市教委の担当者から送られたメールに基づく」としているが、市教委の市田佳之総務課長は5日、「応募状況を確認するためメールを送ったが、どの段階で誰が記載したかは分からない」と説明した。

市民団体は5日、市教委に抗議文を出し、市教委の意図で定員220人のうち計134人が無抽選で参加が認められたと主張。メンバーは「市教委が中心に、参加者を選んでいたのは明らかだ。真摯な謝罪を求めると話した。市田課長は「参加できるようお願いはしたが、最終的には内閣府が決めた」と述べた。

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市教委も内閣府もメールの内容を否定できないようです。その上で、お互いに責任の所在を押しつけ合っている感があります。「国民の意見を広く聞いて政策に反映するため」というTMが、過半数の参加者が市教委の側に立つ人であった場合、それはもう民意を問うものではなく、行政・政府側の思うように「民意」を作るためであったとしか言えないでしょう。

続いて、4月20日、第一次口頭弁論後の京都新聞の記事を載せておきます。ここでは、原告がどのような理由づけで排除されたかが明らかになり、また国と市教委側の責任の「なすり合い」がより鮮明になっています。

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TM京都不正抽選訴訟 京都市と国 なすり合い 原告「謝罪を」 地裁口頭弁論

「除名要請していない」「市教委から受けた」

2005年11月の「タウンミーティング(TM)in 京都」の参加者抽選で作為的に落選させられたなどとして、京都市左京区の大学職員Aさんたち4人が国と市に総額800万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が20日、京都地裁(山下寛裁判長)であった。国と市はそれぞれ、不正抽選の「主導性」を否定する答弁書を提出し、互いに責任を押しつけ合う展開になった。

訴状によると、主催する内閣府が参加者を公募した際、共催の京都市教育委員会が応募リストを送ってもらい、応募者をチェックした。市教委はAさんについて「(過去のイベントで)プラカードを掲げたり、大声を発し、警察まで動員して退場させた」と事実に反する内容を内閣府に報告し、TMに参加させないように求めた。内閣府は要請に基づいて作為的な抽選を行い、Aさんだけでなく、応募番号の下一桁が同じ数十人を巻き添えで落選させた、とされる。

応募リスト送付について、市教委は答弁書で「どのくらい応募があったのかを把握するためで、応募者チェックのためではない」と主張した。一方、国は「市教委から『必ず当選としてもらいたい者と当選としなくてもよい者がいるため、チェックしたい』との連絡を受けた」と答弁した。

作為抽選については、「(落選を)要請していない」とする市教委に対し、国は「市教委から(Aさんたちを)TMに参加させないよう要請があった事実は認める」と答えた。また、応募者リストに「当選」「教委ダミー」などの記載があった点に関して、市教委の担当者は「記憶にない」と責任を回避しているが、内閣府は記載に基づいて当選などの扱いを決めたことを認めている。

Aさんは法廷で「裁判を通じ、事実が明らかにされ、公正な謝罪がなわれることを望む」と陳述した。

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当日のTMには小坂文科省(当時)と河合隼雄文化庁長官(当時)が招かれていて、子どもたちによるお茶やお花の接待があり、真剣に民意を尋ねるというよりも、小坂氏、河合氏に対する、市教委の歓迎会(ご機嫌取り?)という意図が強かったようです。

内閣府と市教委の答弁が食い違っていますが、明らかになったメールなど状況からみて、内閣府の言い分の方がまだ筋が通っているように思います。

いずれにしても、この一連の流れのどこが美しい国作りなのでしょう?全く逆ではないでしょうか。一市民として、本当に腹立たしいです。

別項のコメント欄にも書きましたが2〜3日前のニュースで、TMが衣替えして、再スタートすることが決まったようです。予算はこれまでの10分の1にするとのこと。10分の1でできるものを10倍も主に広告代理店に支払っていた政府はいったい何なのでしょう?教育学者のなかにはTM費用の返還訴訟ができるのではないか?と考えている方もおられます。

新しいTM(名称忘れてしまいました)では、教育などのほかにこれまでのTMでも取り上げられてきた道州制などがテーマになるのではないかと推測しています。私は身のまわりの人や書物、雑誌、ブログから「道州制がぜひ必要だ」という意見を聞いたことがありません。むしろ、市町村合併によって住民サービスが後退した、不便になったという声を頻繁に聞きます。そんななか、これ以上、行政単位を大きくすることには危惧を感じます。

せめて京都TM訴訟の判決が下るまで(地裁だけでも)、新しいTMもどきは自粛してほしいです。それでも強行するのであれば、私たち市民がその方法や意見内容を厳しくチェックしていくほかはないと思います。

原告の方から陳述書の内容を転載する許可をいただいています。また記事を改めて、第1回口頭弁論から紹介したいと思います。




2007-07-06 01:48  nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

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コメント 2

ayu15

明後日ですね。
もしかして、市・国の関係者のご招待だらけなんてないでしょうねえ・・。
by ayu15 (2007-07-18 23:10) 

mai

はい。20日10時30分、京都地裁101号法廷です。集合は10時15分だそうです。上に記事としてアップしておきましたので、ごらんください。終了後の弁護士会館での集会が興味深いので、ぜひ出席を!私は、いろいろあって今回は行けませんが・・。よろしくお願いします。
by mai (2007-07-19 02:31) 

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