SSブログ

保守派の友人にぜひ勧めましょう(1) [憲法について]

津久井さんから教えていただいた本、「我、自衛隊を愛す  故に、憲法9条を守る」を読みました。本当に良い本です。ぜひ読んでみてください。

本の表紙や内容紹介については津久井さんのブログをごらん下さい。
http://tukui.blog55.fc2.com/blog-entry-311.html

ユニークなところを挙げると(いっぱいあるのですが)・・・

1.自衛隊に懐疑的な読者であっても、その存在をカッコに入れて読めば、本質的な内容はリベラル派のジャーナリストの方々がまさにいま言っていることと、ほとんど変わらないことに気づくと思います。反対に、小泉・安倍政権の方向とは全く相容れないものです。

例えば、防衛庁人事教育局長、官房長を歴任した竹岡勝美さんのコメントです。「個々の人間、生命こそが天賦のものであり、これに替わるべき価値はありません。国家といえども、人間がお互いの命を守るための人為の二次的価値に過ぎないのです。まして、人工の旗や歌にすぎない日の丸や君が代に、人間が頭を下げる理などない」。
先日読んだ斎藤貴男さん、魚住昭さんの対談と、ほとんど同じことを言っておられます。ビックリしました。「人工の旗や歌にすぎない日の丸や君が代」に敬意を表さないからといって、先生たちにひどい人権侵害が行われているのが現代東京の実情ですね。

教育再生会議で話題の「奉仕」について、元防衛庁教育訓練局長(現・新潟県加茂市長)の小池清彦さんはこう言っています。「徴兵制については、実は大変な心配があります。既に森内閣の時の私的諮問機関として、あれは教育改革国民会議というものができまして、その中間報告が出たんですよ。最終報告はまあまあ事なきを得たのかと思っているんですが、中間報告は大変なものでございました。小中学生に対しては、二週間奉仕活動をやらせる。それから高校生に対しては、これは男子も女子も一か月間カンヅメにして奉仕活動をやらせる。人間18歳になると、昔は男子だけでしたが、今度は男子も女子も一年間、カンヅメにして奉仕活動をやらせる。そういう中身だったんでございますよ。
 じゃ、一年間、18歳になった人たちをカンヅメにして奉仕活動をやらせる、それは何をやらせるんだと。自衛隊がやっている災害派遣以外、目立ったものはないじゃないですか。鉄砲を持たないだけの話じゃないですか。それは徴兵制そのものだと私は思いました。これはえらいことだと思っておりましたら、幸いに奉仕活動というものは強制すべきものではないとおっしゃった方もあったように思うのでございますが、私も本当に、これはいかん、奉仕活動というものは絶対に強制すべきものではないと思いました。強制すると、形を変えた勤労動員となり、形を変えた徴兵制となる。あとは鉄砲を持たせれば、それでいいんですから」。

教育再生会議の「奉仕」が何を指すのか、私はまだ正確に知りません。でも、今春の都立校の卒業式で都側の来賓がもれなく「奉仕活動が始まる」ことを口にしていたそうです。介護など、ソフトなものならまだしもですが、奉仕活動→勤労動員→徴兵制へと流れかねないことは、十分警戒しておかなくてはならないでしょう。

2.「日本は戦争をしてはならないし、戦争することに何もメリットはない」ということを専門家の立場から説いています。軍事に関しては難しくて、私たち素人はよくわからないというイメージもあるのですが、結論のところは普通の人が常識的に考えたこととほとんど変わりがないようです。

竹岡さん「現在はどうか。脅威とは、日本に届き得る距離にある周辺隣国、即ち中国、ロシア、南北朝鮮のいずれかの国が、少なくとも数十万の大軍を率いて、一方的に日本本土に上陸侵攻して来る時でしかありません。さきに有事法制として立法された「武力攻撃事態」がそれです。
 もちろん、私はそのような有事は起こり得ないと確信しています。常識がある者から見れば、前記の4隣国にそのような対日侵攻の名分やメリット、能力のないことは明らかでしょう。在日米軍再編の「中間報告」や「最終報告」も、このような4国からの本格的な対日上陸侵攻などには一切触れていません。
 現在の日本が北欧諸国やカナダと同様にイスラム原理主義者を敵視していない以上、米国や自衛隊が警戒しているような日本国内への国際テロの侵略を恐れる必要もありません。米国などの、イスラム攻撃に加担しないかぎりは。
 日本の有事とは、まさに在日米軍を含む米軍と日本周辺国家との戦争に巻き込まれる波及有事のみです。万一にも、米軍が一方的に北朝鮮を崩壊させようとした時、北朝鮮の200基のノドン・ミサイルが、日本海沿岸に濫立する十数基の原発を爆砕するかも知れません」。

私も素人ながら、以前のブログに、「米国とともに世界で武力行使することは、日本を危険に陥れるだけの意味しかない」ということを書きましたが、竹岡さんの意見を読んで、やはり・・・と思いました。アフガンやイラクに派兵したり、北朝鮮や中国を敵視して、国民感情を悪化させるようないまの政権のやり方は最も愚かなことだと確信しています。

再び竹岡さん「今、この小さい島国で1億2000万人の国民は8000万台の自動車、53基の原子炉、巨大な石油化学工場、石油やガスの一台備蓄基地、乱立する大都市郊外の超高層ビルらと共存しています。いかに米軍の支持があろうとも本格的な国土戦は戦えないというのが偽らざる実態ではないでしょうか。と同時にそれは起こりえない虚構でもあるでしょう。
 私が仕えた金丸信防衛庁長官は、「戦車を使う時は日本はおしまいだ」と慨嘆しました。後藤田正晴氏も、「地政学的にみても日本は戦争をしてはならないし、またできない国であることは肝に命じておかねばならぬ」と言及されています」。

全く同感です。頭のなかで想像した戦争ゲームではなく、実際に国土が戦場になったとき、いったいどうなるかを考えたらこの結論は極めて妥当でしょう。
さてこれでもまだ、「でも、これからは核戦争の時代ではないか」とか「実際に北朝鮮や中国がミサイル攻撃してきたらどうするのだ」と心配する人はいるのではないでしょうか。
そういう疑問に対してもコメントがあるのですが、長くなりそうなので今回はいったんおしまいにして、続きは次回に書きます。


2007-04-20 22:49  nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(2) 

nice! 0

コメント 2

tukui

わかりやすく解説していただいてありがとうございました。
「良心」があるか,ないか
真の「現実的な視点」をもっているか,いないか
状況を正しく認識する「理性」を持っているか,いないか
全体主義か,ひとり一人の人間を見るか
ということが,この種の問題の立場の違いを分けるポイントなのでしょうね。この本を読んで,自衛隊がどうのこうのということが決定的な違いでないことが分かって,目が覚めるような思いがしました。
本当にありがとうございました。
by tukui (2007-04-21 09:43) 

mai

tukuiさん、コメントありがとうございます。
私が漠然と思っていることを、言葉で的確に表現していただき感謝です。
良心、現実的視点、理性、一人ひとりの人間を見る・・・すべてその通りですね。
著者の3人は、人間として本当に信頼できる方々だと思います。
それにひきかえ、いまの政権内部の政治家の質の低下(きつい言い方ですが、あえて言います)はどういうことでしょう?やはり根底には戦争体験の有無があるのでしょうか?でも、すべてが体験できないからこそ、人間に備わっている想像力が生きてくると思うのですが、想像力が欠如している、または自ら遮断しているのでしょうか?本当に不思議です。
この本を読むと自衛隊問題は手をつなぐ妨げにならないことがよくわかりました。自衛隊を否定する人も大切に思う人も仲良く?九条を守ることができる・・・というのはとても心強いですね。
思うところがいっぱいありすぎて、その2は何からどう書こうか考え中です。
by mai (2007-04-21 21:41) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。